「ドットハック セカイの向こうに」見たよ


全世界規模のオンラインゲーム「THE WORLD」が世界中で大流行している世の中で、福岡・柳川に暮らす中学生の有城そら(桜庭ななみ)はゲーム未経験者。幼馴染の岡野智彦(田中圭)や友人に誘われても手を出さなかったのだが、帰り道にひとりで「THE WORLD」をやっていた田中翔松坂桃李)に言われた一言をきっかけに、ゲームのお試し版にアクセスしてみることに。ゲームを通じて距離が縮まるそら、智彦、田中。いつしかそらには淡い恋心が。そんな折、ゲームのプレイヤーが次々と意識不明になる事件が起き、現実世界を救うにはゲームのセカイを救う必要があると気づいたそらは意を決して立ち上がるのだが…。

『ドットハック セカイの向こうに』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮で観てきました。

元となったゲームは未プレイなのですが、知らなくてもまったく問題なく楽しめる作品でしたし、おもしろかったです。キャラクターの造形や映像についてはどちらかというとわたしの苦手な部類に入ると思うのですが、そういった観る前は苦手だと思ってた部分も許容できるというか、むしろまったく気にならないしちょっと好きだと思えるくらいに作品に惹かれてしまい、終始真剣に見入ってしまいました。


ある日なんとなく始めてみたオンラインゲームが殊のほかおもしろくてハマってしまって日常を侵食し始めるあの感覚って、実際にハマったことがある人であればかなり共感できると思います。そこ以外にも、リアル知人とネット内で会った時の違和感や仮想世界の広さに圧倒されて茫然としてしまう瞬間など、オンラインゲームを始めたばかりの頃に感じるであろう感情の表現や心理描写の巧みさには感動すら覚えました。
これ、絶対ネトゲにハマった人が作ったか監修とかしてそう...。


そんなわけで前半は徐々にオンラインゲームの世界が日常に入り込んでくるところが描かれていましたが、後半になるとオンラインと現実世界がリンクしてしまい、ネットの向こう側で起きた出来事が現実世界にも影響を与えはじめます。ネットの中の混乱がリアルな世界に影響を及ぼすあたりはちょっぴり「サマーウォーズ」をほうふつとさせたのですが、このあたりは「ネットとリアルは不可分」というところを描いているような気がして観ていてすごく楽しかったです。


後半は少し強引過ぎる部分もありましたが、それはそれというか「無理やりに話を進め過ぎておもしろくないなー」なんて感じるところはなくて、むしろその強引さがバカバカしくて微笑ましいと感じました。少なくとも私は嫌いではなかったですし、そういう一面もまたたいへんおもしろいと感じました。


と映画自体はすごくおもしろかったし、こういう近未来という設定やオンラインゲームという素材にも思い入れがあるのですごく気に入ったんだけど、ひとつ物足りないと感じたところがあって、それは近未来だけどその内実があまりに現代的だったことなんです。

いまから10年先という非常に直近の未来なので、いまとそれほど大きく変わるとは思えないしそう考えるとすごく正しい描写なんだろうけど、例えば70年代くらいに21世紀を想像したときのような「未来ってすごいんだぜ」的な妄想で世界を構築するのってもう無理なのかなーなんて思ってちょっと寂しくなりました。

現実の延長につながるという意味では身の丈にあった未来予想図ではありますし、最初に書いたとおりわたしはこの作品の世界観はぜんぜん嫌いじゃないしむしろ好きなのですが、なんかこう物足りないという印象だけがつよく残ってしまいました。カレーの辛口を食べたんだけど、思ったほど辛くなかった的なそんな物足りなさ。


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