- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/28
- メディア: 文庫
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友人の葬式の帰り、久々に学生時代の仲間が集まった。噂によれば、仲間たちはみな、何らかの個人的事情を抱えているらしい。一見なごやかな宴だが、それぞれが諸事情で少しずつ席を外す間、残った人間は様々に憶測を巡らし、不在の人物について語り合う。やがて漂う不穏な空気―。噂はどこまで本当なのか?そして、この集まりの本当の意図とは?恩田陸“初戯曲”ついに書籍化。閉鎖空間で展開する、心理サスペンス会話劇。創作の舞台裏を綴った長文エッセイ、「『猫と針』日記」も書き下ろしで収録。
http://www.amazon.co.jp/dp/4103971096
以前から恩田さんは舞台でなにかを演じるシーンを描いた物語をいくつか書いていたので「これは戯曲も書いてみたいんだろうなあ」と思っていましたが、まさかもう書かれていたとは知りませんでした。ファン失格だ...。
本作はその戯曲そのものを書籍にしたものでして、まるで自分が舞台でいずれかの役を演じる立場になって脚本を読んでいるような気分に浸りながら一気に読み進めました。なんて、脚本を読んでいるようだなんてまるで俳優気取りの発言でして、いったいお前はなにさまのつもりだと自分にビンタしてやりたい気分です。
ビターーン!!
さて。
高校時代の同級生がひさしぶりに集まったという設定で繰り広げられる閉鎖的な空間での会話劇でして、過去に起きた出来事の真実を謎として物語の中心に配置することで、最後まで飽きることなく惹きつけられる内容となっていておもしろかったです。
特に「人があつまると、その場にいない人の話題で盛り上がる」という言葉はたいへんおもしろく、悪意の有無にかかわらず、その場にいる人よりもいない人の方が話題にしやすいというのはすごくよくわかるなーと共感をおぼえました。別に悪口をいうんじゃなくても、なんとなくそうなりがちですよね。
本人が目の前にいると反応が気になってしまいますし、そうやって相手の反応を見ながら話すのはなにかと面倒なんですよね。そう考えるとたしかに不在のときほどその人のことで盛り上がるというのはすごく信憑性があるよなーと思うし、そういう共感がこの物語に説得力をあたえていたように感じました。
物語は結構短かったのですが、実際に舞台で演じられている様子を想起しながら読んだのでなかなか充実した読書タイムを過ごすことができました。
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