最近読んだ本をいくつか

先日帰省したときにひさしぶりに本を読んだのでその中からいくつか紹介。

夜の底は柔らかな幻

特殊能力を持つ“在色者”たちが、“途鎖国”の山深くに集まる“闇月”。殺戮の風が、次第に暴れ始める―。殺人者たちの宴が、幕を開ける。

http://www.amazon.co.jp/dp/4163292705

夜の底は柔らかな幻(下) (文春文庫)

夜の底は柔らかな幻(下) (文春文庫)

煌びやかな闇が、手招きする。目前に迫った暗黒の世界“フチ”。そこで待つ“ソク”の正体とは!?ここでは何が起きているのか。

http://www.amazon.co.jp/dp/4163292802/

ひさしぶりに恩田さんの本を読みましたが上下巻で800ページ近いボリュームもあっという間に感じられるほど引き込まれました。「途鎖国」と呼ばれる日本国内にありながら治外法権的な立ち位置を示す不思議な国を舞台に、在色者と呼ばれる特殊能力を有する人たちがあるものを巡って争うというお話。

さいきんこの手のファンタジーな設定や物語はわりと受け付けなくなっていたのですが、登場人物たちの誰もが魅力的でありながらもその周りには常に死の匂いが漂っていたために緊張感のある展開にあっという間に読み切ってしまいました。

めちゃくちゃおもしろかったです。

でっちあげ

でっちあげ (新潮文庫)

でっちあげ (新潮文庫)

「早く死ね、自分で死ね。」2003年、全国で初めて「教師によるいじめ」と認定される体罰事件が福岡で起きた。地元の新聞報道をきっかけに、担当教輸は『史上最悪の殺人教師』と呼ばれ、停職処分になる。児童側はさらに民事裁判を起こし、舞台は法廷へ。正義の鉄槌が下るはずだったが、待ち受けていたのは予想だにしない展開と、驚愕の事実であった。第六回新潮ドキュメント賞受賞。

http://www.amazon.co.jp/dp/4101311811/


やってもいない生徒へのいじめをでっちあげられた先生が最後は親から訴訟を起こされてしまうというノンフィクションでしたが死ぬほどこわかったです。こんなことが現実であったら耐える自信がありません。

身に覚えのないことや理不尽なことであっても、とりあえずその場を収めるために立場の弱い方がぐっと我慢して飲み込むということはわりとよくあることだと思います。もちろんそんなふうに我慢せずに悠然と反論したり相手を追い詰めることもできなくはないのですが、長い目で見た場合の損得勘定を計算すると大抵は立場の弱い方が我慢することが多いです。

本書に記録されている内容は「その場を収めようとやってもない罪を認めてしまったらその後その『謝った』という事実をたてに謝罪要求がエスカレートして大変なことになった」という内容でして、一時的な気の迷いでうかつに誤ってしまったことがその後とんでもない状況を引き起こすことになっていく様が描かれていて恐怖におののきました。

おのののか。