最近読んだ本をいくつか(その2)


昨日に続いて最近読んだ本の紹介。

サクラ咲く

サクラ咲く (光文社文庫)

サクラ咲く (光文社文庫)

塚原マチは本好きで気弱な中学一年生。ある日、図書館で本をめくっていると一枚の便せんが落ちた。そこには『サクラチル』という文字が。一体誰がこれを?やがて始まった顔の見えない相手との便せん越しの交流は、二人の距離を近付けていく。(「サクラ咲く」)輝きに満ちた喜びや、声にならない叫びが織りなす青春のシーンをみずみずしく描き出す。表題作含む三編の傑作集。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334767044/

ちょっと不思議な物語が場所を共有しながら時間を超えてつながるユニークでおもしろい作品でした。
これは本当によかったです。

気分上々

気分上々 (角川文庫)

気分上々 (角川文庫)

中学2年生の柊也は、クラスメイトの翼に誘われて渋々行った中華街で無銭飲食の罪を着せられてしまう。困った柊也がとった行動は…(「気分上々」)。“自分革命”を起こすべく親友との縁を切った女子高生、8年前の“あの日”を忘れられない女性、一族に伝わる理不尽な“掟”に苦悩する有名女優…。毎日をもがきながらも一生懸命に生きる人たち。これまでに発表された短編から選りすぐった、元気と勇気をくれる9つの人生物語。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4041020611/


ひさしぶりに森さんの本を手に取りましたが、読みながら「あー、これは森さんの本だ!」と興奮してしまうくらいに大好きな一冊でした。どこが森さんの作品っぽいのか?というのはとても難しいのですが、世界観や設定、会話のひとつひとつに「らしさ」が宿っていると思います。

偶然バーで出会った男女のやりとりを男性側、女性側それぞれの視点から描いた「彼女の彼の特別な日 彼の彼女の特別な日」は、物語のアイディア自体はわりとありふれているのに設定の細部やひとつひとつの会話がとても魅力的で読み進めれば進めるほどに描かれている世界の中に幸せが満たされていくのを実感しました。


それ以外の作品のいずれもすごく好みの内容でしてまた夏に読み返したくなる一冊でした。