「タクシードライバー」見たよ

ニューヨークにある小さなタクシー会社に運転手志望の男が現れた。ベトナム帰りの元海兵隊員と称する彼、トラヴィス・ビックルは、戦争によるのか深刻な不眠症を患っているため定職に就くこともままならず、タクシードライバーに就職。誰となく目的地まで送り届け運賃を受け取る毎日を過ごしていた。社交性にやや欠け、同僚たちから守銭奴とあだ名されるトラヴィスは、余暇はポルノ映画館に通ったり、深い闇に包まれたマンハッタンを当てもなく運転する、という孤独の中にあった。そして、そこで目にする麻薬と性欲に溺れる若者や盛り場の退廃ぶりに嫌悪を示していた。

タクシードライバー (1976年の映画) - Wikipedia

TOHOシネマズ宇都宮にて。午前十時の映画祭にて鑑賞(8本目)


なかなか感想が書けなくて放置してたら一ヶ月以上経ってしまいました。いい加減、映画の内容も忘れてます...。


わたしには長くモットーとしていることがありまして、それは「好きになるのに理由はないけど、嫌いになるのは理由がある」です。
もうここでも何度も書いているのでまたそれかよ的な空気が漂いそうな気もするのですが、嫌いなものを見つけるとわたしはどうしてもその理由が知りたいと思ってしまうのです。


例えば、「アキレスと亀」の主人公の真知寿なんかは観始めて数分で蹴っ飛ばしたくなるくらい大嫌いだと思ったのですが、自分の感情をトレースしてみると「恵まれた環境にいながらもそれを当然のことのように感じている」彼に対する嫉妬が嫌いの原因だったということが分かったりするわけです。


そしてどんなに好きになれない人であっても、その嫌いの理由がはっきりすればそれなりに付き合っていくことも可能だということをわたしは知っています。だから嫌いなものを見つけるとその理由を探さずにはいられないのです。


さて。本作の主人公トラヴィスもまた観ていてイライラさせられるタイプでして、わたしは観ながら「彼はいったい何を考えているのか?」とか「彼の行動原理がなんなのか?」ということについて考えながら鑑賞しました。
でもねえ....。ずっと観てたけど彼のことは全然わかんなかったんですよ(笑)


たとえば、大好きな女性にアプローチをするそのプロセスもすごく気持ちが悪いのですが、それ以上にそんな大好きな女性をデートでポルノ映画館に連れて行くとか完全に理解の範疇を超えていて思わず吹き出してしまいました。ここは割と本気で「君は本当はどうしたかったの?」と聞きたくなるくらいにわけがわからなかったのですが、正直このシーンあたりで嫌いの理由がうっすらと見えてきたような気がしました。


で、最後まで観ててわかったのはわたしがトラヴィスを苦手だと感じた理由はただひとつ。
自分は絶対にこんなふうにはなりたくないというモデルケースなんですよね、トラヴィスは。
嫉妬でも同族嫌悪でもなく、ただあんなふうにはなりたくないというイメージを具現化した姿そのものが彼だったというだけなんです。
このあたりを具体的かつ明確に書くとだいぶエグイので止めておきますが、トラヴィスはわたしが一番なりたくないタイプの人間なんだということだけを記録しておきたいと思います。何かを為したいという焦燥感をもっているところには共感をおぼえましたが、自分のことは度外視して正義感を振りかざすあたりなど、それ以外のところは理解したり受け止めるのはちょっと無理でした...。


そんなわけでわたしはあのラストは夢だったと思っているし、あれが現実であって欲しくないと思っています。


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