「ジュリエットからの手紙」見たよ


世界遺産の愛の都ヴェローナにあるジュリエットの生家には、いまもなお、彼女宛に恋の悩みを綴った手紙が届いている――。ロンドンに暮らすクレア(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)のもとに1通の手紙が届いた。その手紙は、50年前にクレアがジュリエットに送った恋の悩みへの返事だった。当時、クレアはイタリアで出会ったロレンツォとの恋に悩み、その誰にも打ち明けれない胸の内を手紙に書いたのだった。手紙に背中を押されたクレアは、再会を決意してイタリアへ向かい、返事を書いたソフィー(アマンダ・セイフライド)と一緒に初恋の人を探す旅をはじめる。

『ジュリエットからの手紙』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。


この作品のキーワードである「真実の愛」とか「運命の人」という言葉は、聞くだけで背筋がゾワゾワしてしまうくらい嫌いなのですが、でもアマンダとガエルがどうしても観たくて観に行ってきました。序盤は愛だなんだと盛り上がっているのが気持ち悪くてイライラしながら観てたのですが、登場人物のキャラクターと相関が確立されてくるにつれてとても物語に引きこまれてしまいました。
最終的にはラストシーンのベタな感じさえもいとおしく感じるほど、楽しんでしまいました。
嫌いなジャンルの作品を楽しんでしまったときの背徳感というか敗北感を味わう羽目になりました。


でもおもしろかったからいいや。


上にも書いたとおり、わたしは「真実の愛」とか「運命の人」という言葉が大嫌いです。
よりによってそんな嫌いな言葉がテーマの作品を観てしまったわけですが、この作品を観て「誰かを好きになるということに対する考え方とか姿勢って国によってかなり違うよね」ということを改めて感じたのです。


具体的にどういうことかというと、本作の舞台となったイタリアでは、長く変わらない他者への愛が「真実の愛」と褒めはやされ、老いてからでもその人と結ばれることが否定的には受け止められません。
ところが日本はそうではなくて、一人の人と添い遂げることが美徳という空気がいまだに残っていますし、死別した後の再婚ですら周囲からはあまり好意的に受け止められません。世間体が...とかそういう理由で反対されたという話は聞いたことがありますが、もろ手をあげて祝福されたという話は寡聞にして知りません。


たしかに私自身について考えてみると、両親どちらかの死後に残された方が「実は好きな人がいたの」と再婚しちゃうのは何となく嫌だなと思うし、そういう意味ではイタリア的な感覚ってわかんないなーというのが率直な感想なんですよね。


そんなわけで真実の愛とかベースとなるストーリーについてはさほど興味がもてませんでしたしおもしろくなかったのですが、ソフィーとチャーリーの距離が徐々に近づいていく様子がもどかしくも楽しく感じられ、星を観ながらついにキスをしてしまうシーンには大変満足しました。ラブストーリーなんて...とか言ってたのに「出会いはケンカではじまった二人が気付いたら...」的なベタな展開で満足してしまっていることは非常に由々しきことですが、でも楽しんでしまったのだからしょうがないですよねー。


それと、婚約したのをいいことに旅行先にきてまで自分のやりたいことを優先してたせいでソフィーに捨てられてしまったビクターを観ていると、毎日映画や読書を優先して家族をないがしろにしている私もそのうち捨てられるんじゃないかという恐怖がわいてきて、後半はその恐怖におびえながら鑑賞しました。
もっと家族を大事にしろよ!


公式サイトはこちら