「明朝24」編集部に突如舞い込んだ、とある死刑囚からの一通の手紙。そこには驚愕の内容が記されていた。「自らが犯した事件には、ほかにも数々の余罪事件が存在している。さらに、“先生”と呼ばれる一連の事件の首謀者はまだ娑婆にいる―。」果たして、死刑囚の言葉は真実なのか? 罠なのか? “先生”とは何者なのか? 事件にとりつかれたかのように真相を求める雑誌記者・藤井が辿りつく先に身も凍る真実が潜んでいた――。
『凶悪』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮で観てきました。
実際にあった上申書殺人と呼ばれる殺人事件をもとに組み立てられた物語だそうですが、終始胸の奥がざわざわしてしょうがない作品でした。
悪事の限りを尽くして死刑宣告を受けた囚人が余罪とともにその首謀者を告発するというお話ですが、呼吸をするように弱者を蹂躙する人たちのおそろしい姿をひじょうに丁寧に描いている作品でして、目を背けたいという気持ちと見ずにはいられないという好奇心に板挟みになりながらも思いっきりのめり込んで観てしまいました。
こんな作り話みたいな出来事が身の回りで起きるなんて想像もできないのですが、でもそうやって「どこか遠くで起きている怖い出来事」として認識しているようなことが不意に目の前で起こることもあるんだと思った瞬間に、なんていうかうまく言葉にできないくらいのゾッとしちゃいました。「フィクションだと思って高みの見物を決め込もうとしていたら、いつの間にか自分もその舞台に引きずりおろされていた」ような一言ではとても言い様のない気分におちいってしまいました。
すごい。。
ゆいいつ、観ている最中にわたしがどうしても分からなかったのは、山田孝之演じる藤井がなぜこの事件に執着したのか?というところでした。
相手にする必要のない死刑囚が語ったことに引っ掛かりをおぼえて捜査を開始するところまではわからなくないのですが、その後の「粘着し過ぎ」としか思えないような偏執的な執着っぷりに違和感をおぼえずにいられませんでした。最初は母親の介護から目をそむけるために何か集中して取り組みたいと思っていたのか、それとも彼の琴線というか逆鱗に触れる何かがこの事件にあったのかと思って観ていたのですが、そのどれもピンときませんでした。
観終えて思ったのは「社会悪を裁くことに快感をおぼえていた」というのはちょっと言い過ぎかも知れませんが、相手は平気な顔して人を殺すような悪い奴なんだから死刑になるまで徹底的に追い詰めてやりたいという嗜虐的な気持ちがあったんじゃないかなと。
ただ、そう思うのはぜんぶ観終えて状況を整理してみたらそう思っているんじゃないかなと想像するに至ったからであって、観ている時はさっぱり藤井の気持ちが分からなかったんですよね...。そこがもうちょっと汲み取ることができたらもっと楽しく鑑賞出来たんじゃないかなとちょっと残念な気分になりました。
そうそう。読売新聞に、6回に渡ってこの事件の詳細が連載されていたので最後に紹介しておきます。
(関連リンク)
公式サイトはこちら