「アンノウン」見たよ


マーティン・ハリス博士(リーアム・ニーソン)は、自動車事故から目覚めると、妻であるエリザベス(ジャニュアリー・ジョーンズ)が自分のことを忘れ、別の男が自分の名を名乗っていた。異国の地に居たマーティンの身元を証明するものは何もない上、何者かによって命を狙われるようになる。マーティンは、タクシードライバージーナ(ダイアン・クルーガー)の助けによって、自分を取り戻すための行動に出るが――。

『アンノウン』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。


刻々と状況が切り替わるスピード感あふれる展開は非常に面白くて、常に先が気になってやきもきしちゃうすばらしい作品でした。
最初から最後まで(ラストはちょっと弱かったけど)強烈に惹きつけられたのですが、何がよかったって「なぜ他人が自分になりすませているのか?」という謎の部分について、変化球で策を弄してくるのかと思いきや、ずばり直球で攻めてくる意外性がすごくよかったんですよね。
予想外過ぎる展開に思わずキュンキュンしました。ホントおもしろかった。



自分が自分であることをアイデンティファイするというのは、簡単なようでいて実はとても難しいことだと言えます。誰がどういう方法で「自分が自分である」ということをどう保証してくれるのか?ということを冷静に分析してみると、実は完璧な方法は何一つないんじゃないかという気がしてきます。
最終的には既にアイデンティファイされている人に保証してもらうのがよいのでしょうが、でも他人に自分の正当性を証明してもらうしかないという状況は実はすごく危ういことだなと思うんですよね。例えば、Webの世界だとSSL証明書というものを使って接続しようとしているサイトの正当性を確認したりしますが、この認証局のような絶対的な正しさを保証するものが無い世界というのは実はすごく怖いよなとしみじみと感じました。


本作はそんな同一性保証の難しさに気付かせてくれると同時に、我々が日々積み重ねて作り上げている日常なんてこんなに簡単に奪われてしまうんだという怖さを感じさせてくれるおもしろい作品でした。どれだけ自分が自分であることを主張しても信じてくれない辛さ、苦しさ。
自分が何者であるかを確信できないという、根本的な部分が揺らいでしまった時に果たしてどこまで平静を保てるのかということについて想いを馳せてしまいました。平時のシーンで悶々として、アクションシーンですっきりするというその繰り返しは悪くなかったです。


オチのつけ方もとても秀逸でひじょうに楽しい作品でした。


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