コンプリートシンドローム

今日は普段よりもちょっと早目に出勤したのですが、ちょうど高校生の登校時間と被ったらしく、たくさんの高校生とすれ違いました。
そんな中、男の子と女の子が自転車で並走しながら登校してるのを見て「あー、いいなー」とうらやましく思ったのですが、果たしてわたしはどの部分がうらやましいと感じたんだろう?と疑問に思い、会社への道すがらそれについて考えながら歩いて出社しました。


ただ、考えると言ってもどう考えても「かわいい女の子と二人で登校するのがうらやましい」という以外の答えは見つからず、「俺もあんな風に好きな女の子と一緒に登校したかったなー」と思ってただけなんだろうなと。女の子がかわいかったのが羨ましいだけか...。


今から15年前、わたしが高校に入学したばかりの当時。
「わたしが好きになった人は2ヶ月以内に彼氏が出来る」という、わたしにとって1mmもメリットがないジンクスがありまして、そのおかげで高校3年間1度も好きになった人と付き合うということはありませんでした。これは何かの罰ゲームか...と疑いたくなるくらい同じようことが続いたために、3年生になる頃には好きになるとかどうでもいいやという諦観をもって毎日を過ごすようになったほどです。
当時は本気で何かの呪いかと思っていましたが、いま考えてみると、好きな人がいる女の子は輝いてみえるという法則に則ってそういう子を好きになってただけなんだろうなと思います。ああ、甘酸っぱい思い出。


そんなわけで「好きな女の子と一緒に登下校!!」なんていうことは一度もなくて、大抵いつも決まった野郎メンバーと「昨日スト2で20人抜きした」とか「うちの近くの海岸にエロ本落ちてるから拾いに行こうぜ!」とか「日曜日にヤンキー3人に追いかけられた」という他愛もない話をしながら登校してました。
それはそれで気楽ですごく楽しかったですしわたしにとってもとても大事な思い出ですが、でもやっぱり好きな女の子と二人で登下校できなかったというのはかなり心残りですし、自分の人生の中にあんな幸せな一場面がなかったことは大きな喪失感として心に残っています。


さて。
話はちょっと変わりますが、わたしはゲームが大好きでよくやるのですがその中でもRPGはすごく好きで面白そうなのを見つけては手を出してやっています。最近は昔やっていたRPGがすごくやりたくなって、まずはファイナルファンタジーシリーズをコンプリートしてみようと思い立ってFF1から全部やり直しています。FF1はこの間クリアしていまはFF2をやっているのですが、ちょうどカシュオーン城にいてボスを倒したばかりです。ただ、最初からあまりに強くし過ぎたためにボスを一撃で倒して萎えているところです。HPが1000も無いボスに素手で4000ダメージとかもうね...。


と、そんなわたしの近況はどうでもいいのですが、RPGをやっていてついつい陥りがちなのが「全部のイベントをこなさないと気が済まない」という状況です。武器は最強の武器が欲しいし、一番強い隠しボスも倒したいし、秘密のダンジョンもクリアしたい。とにかく出来ることは全部やりたいという状況になってしまいがちですが、最近のRPGは特に顕著なのですが、それを実行するのがとても難しいゲームが結構あります。
例えば、ある時点を過ぎてしまうと発生しないイベントがあったり、取れない武器があったりというのは珍しくありませんし、あとはとんでもなく強い敵がいてなかなか倒せないというのもよくあります。そういった要素を「やり込み要素」と呼ぶのは個人的には納得できませんが、とにかく「そのゲームの中にあるすべてを味わいたい」、つまり、そのゲームに関するすべてをコンプリートしたいという気持ちはとてもよく分かりますし、それが出来なかった時の悔しさというのもすごく理解できるのです。


そう考えた時に、もしかしてわたしが「高校の時に好きな女の子と一緒に登校出来なかったこと」に執着するのは、「コンプリートしたいのにできなかった」ことにこだわるのと根っこは同じなんじゃないかという気がしてきたのです。
コンプリートにこだわり続けるこの症状を、コンプリート症候群と勝手に呼ぶことにしますが、もし仮にわたしがコンプリートすることにつよくこだわっているのだとすれば、わたしはもう二度と埋めることのできない高校時代の空白にこだわって15年も生きてきたことになりますし、きっとこれからも変わることはないだろうなと思います。


ゲームがわたしをこんなふうにしたのか、そもそもそういう性癖があったからこそゲームにはまってしまったのかわかりませんが、そんなことばかりを考えながら出社したせいで、予定よりも20分も遅れて会社に着いたのでした。
The 遅刻!!