時間ってなんなの?

大学は理学部物理学科、大学院では原子核の研究室に進んだわたしですが、実は高校2年までは理科系科目が大の苦手でした。
数学については小さい頃から大好きでそれは今も変わりませんが、かたや理科科目となると生物も地学も物理も化学も大の苦手だったのです。化学式とか全然覚えられなくて興味なかったし、生き物の体のつくりとかも超どうでもいいと思ってました。そんなことよりも、数字や記号をこねくりまわして答えをひねり出す数学の方がすごく楽しいと感じていました。


そんな理科と聞くのも嫌なくらい理科嫌いだったわたしが初めて理科をおもしろいと思ったのは、高校生の時に好きにだった女の子の名前がリカだったから...というわけではなくて、実際には高校二年で物理を選択科目として選んでからのことでした。当時物理を担当していた先生が何気なくしてくれた時空間の概念を教えてくれた時に、「物理だったら時間が何かわかるかも!」とものすごい興奮をおぼえたのです。


思い返してみてもいつからなのかわかりませんが、わたしは時間に対してつよい興味をもっていました。
時間。それは決して目には見えないし逆にも流れることもない、とても不思議なこの存在はいったい何なのだ?といつも気になっていたのです。時間というのは誰もがよく知っているようで実のところ誰も何も知らない不思議なものでして、いったい何を勉強すれば時間に詳しくなれるのかさっぱり分かりませんでした。


それが相対論をとっかかりに勉強していけば、いつか時間の正体を理解してその流れを好きに変えられるようになるんじゃないか、つまりタイムマシンも作ることが出来るような研究が出来るのかも知れないと思ってしまったがために、わたしは物理を勉強しようと思うようになったのです。
そんな何ともありきたりな妄想を抱いて専攻を決めて大学に入ったわけですが、大学に入ってから講義を受けたり本を読んだりしているうちに、相対論というのは絶対的な基準を時間の進み方におくのではなく自分自身からみた光の速さを基準に置き換えただけだということが分かり、時間の扱い方についてはさまざまな知見を得ましたがそもそも時間とは何かということはこれだけではわからないというのが分かりました。


本来であればそこをスタートにして自分が研究すべきだったのでしょうが、期待し過ぎていたわたしにとってこの現実はなかなか厳しくてしぼむように物理に興味がなくなってしまいました。所詮、わたしには研究職なんて向いていなかったというだけなんでしょうが、こんな感じでわたしは大学2年にして早くも腑抜けた学生になりました。盛り上がるのも早ければ盛り下がるのも早かったという、いかにもわたしらしいエピソードです。


ただ、あれからもう12年が経ちますが、最近またもや物理にすごく興味が出てきてて昔買った本を読み直したり、時間が空いた時にノートにメモしながらいろいろと考えたりしています。
いまさらですが、もう一度物理を勉強したいです。