「ナースコール」読んだよ

ナースコール (講談社文庫)

ナースコール (講談社文庫)

看護師の仕事は魅力的!?「○○さん、頑張ってね」と患者さんを励ますうちに、不思議なことに自分までが元気になってくる。ときに、やりきれなさや限界を感じつつも、「“辞めたい辞めたい”も“仕事が好き”のうち」と続けてこられた理由を、病院内の人間ドラマや身近な出来事で綴った、看護師の本音エッセイ。

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世の中にはわたしにはちょっとわからない嗜好というのがたくさんあるのですが、その中でも重度に理解できないものの一つとして「ナースへの憧れ」があります。男性が10人集まればその中に一人はナース好きが紛れ込むと言ってもいいくらい、ナースが好きだという人は多いとわたしは感じているのですが、率直にいってわたしにはそれがまったくわからないんですよね...。
ナースのコスプレAVが大好きという人もいますし、そもそも「ナースもの」というくくりがあるくらいですからそういう人の存在は決して少なくなさそうです。


そういえば、大学の時に同じ大学の看護学科の子たちと合コンをしたのですが、友だちはナースの卵と仲良くなれたとか言って喜んでたな...。「顔とか性格よりナースかどうかかよ!」と思わずツッコんでしまったのですが、でもナース属性というのはそれほど大きなプラス要素なんだということをこの時思い知ったのです。
全然かわいくなかtt(以下略)


あの格好も別に全然興奮しないし、看護師さんって結構性格がきつい人が多いし、そんなに惹かれないんだよな....。


と、話がこの本とはあまり関係のない方向に飛んでしまったのですが話を戻しますが、普段は見も知らぬ人のエッセーなんてまったく興味がない私ですがなぜかこの本には興味がわいてしまい手に取ってしまいました。それは「なぜみんなあんなにナースが好きなのか?」ということを知りたかったからです。
この本を読んでナースの実態を知ることでもう少し理解できるのかも知れない...と思って読んだのですが、結論から言うと余計にナースへあこがれる気持ちは分からないと感じるようになりました。人の生死をたくさん見ているせいか、年齢の割にものすごく達観しているし、ちょっと怖いくらいです。他人の生死に関わり続けることで「人間なんて誰でもおんなじなんだ」という悟りの境地とも言える次元に至っているようでその点はすごいなと思うのですが、でも「それだから素敵」とはならないんですよね。


また話がずれてきたので再度戻して、本書は「ナースの仕事の大変さ」と「真摯に向き合うけれど、割り切るところは割り切ることが大事」という著者なりの心構えを素直に吐き出していたのが印象的でした。人の命に関わる仕事をしている人って、世間から全力を尽くすことだけでなく「そうしているんだ」というポーズを取ることも要求されているように感じることが多いのですが、そういった表面上だけ取り繕うことよりも、こうやって本音で出来ることと出来ないことをちゃんと分けてくれた方がよほど信用出来るなと感じました。
意気込みとして全力を尽くすということは大事なのですが、でもそうすることで実現可能なこととそうでないことを区別することがとても難しくなってしまうわけで、それよりは著者のスタンスの方がわたしはすごく好ましいと感じるんですよね。
ところどころ、自虐なのか自慢なのか分からない鬱陶しい文章もあって蹴っ飛ばしたくなったりもしましたが、おおむねストレートに感情を吐露している点に好感のもてる内容でした。


上述のとおり、ナースにあこがれる人の気持ちはわからなかったので、とりあえずナースがいいっていってる人はコスチューム的な意味で好きなんだと理解しておきます。それ以上のところはわからんです。