「カノジョは嘘を愛しすぎてる」見たよ


「僕は妹に恋をする」、「僕の初恋をキミに捧ぐ」の作者として知られる青木琴美の人気少女コミックを映画化。音楽業界を舞台に、25歳の天才サウンドクリエイター・小笠原秋と、普通の女子高校生・小枝理子との歳の差恋愛を描く。突如スターの階段を駆け上がる天性の歌声を持つ理子を始め、華やかに活躍するクリエイターたちが、音楽作りの過程でどのように悩み、楽曲を生み出していくのか、“ビジネス”としての音楽をリアルに描く。

『カノジョは嘘を愛しすぎてる』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。


歌の上手い素人を主演にキャストするという話を聞いて「タイヨウのうた」を想像したのですが、同じ監督さんの作品でした。
こういうお話が好きなのか、それとも「タイヨウのうた」がよかったので抜擢されたのかわかりませんが、観てみた感想としてはよかったんじゃないかなと。

じつは予告がさほど魅力的ではなかったのであまり期待しないで観に行ったのですが、物語の構成や演出そして作中で流れる音楽が高いレベルで配置されたとてもよい作品でした。とくに音楽は「一昔前の邦楽好きなわたし好みの曲」が多く、めずらしくサントラというか作中で流れた楽曲が入ったCDを買ってしまうほど気に入りました。



音楽を題材にした映画というのはわりと好きでよくみるのですが、ここまで楽曲に力の入っている作品は初めてです。


あとは演出などについてですが、始まってしばらくは不自然さを残す会話ややり取りは果たして演出なのか演技の稚拙さなのかわからなくて困惑しましたが、途中からはそういった瑣末な部分はどうでもよくなってしまって気付けばまったく違和感なく物語を楽しんでいました。演技の巧拙なんてのは作品全体の出来栄えにおいてそこまで重要なファクターじゃないのかも知れません。


あとすごくよかったのはこの作品にはリアリティが感じられたということです。

リアリティがあるというのは果たしてどういうことなのかちょっと考えてみたのですが、これは「映画の中の世界がほんとうに存在する世界だと思えるかどうか」つまり「その世界の存在を信じて作品の中に没入できるか?」ということになると思います。そしてその評価軸においてこの作品は文句なしに優れていたと断言できます。


この作品で描かれているような音楽の世界というのはわたしが住んでいる世界とはまったく違うし、わたし自身の目で見てきた世界とはなにひとつクロスしません。こういう華々しい世界にあこがれる気持ちはいくばくか持ち合わせているものの、こういう世界をみたことも聞いたこともないわたしがこの作品の中で描かれる世界にリアリティを感じられるというのはすごいことじゃないかなと思ってちょっと感動しました。

ちょっとだけ。

唯一ざんねんだったのは歌姫役を演じた相武紗季さんがまったく歌わなかったことです。


↑一番右側の姫です


映画が終わった瞬間、まっさきに頭によぎったのは「この映画おもしろかったなー」でもなく「あの曲よかったなあ」でもなく、「ええー、歌姫なのにぜんぜん歌わないの!?」ということでした。だってこんなに楽曲のいい作品の歌姫役なのに歌わないっておかしいでしょ....。でもまあ歌ったら歌ったでそれがまたなにか別のもめ事を起こしそうな気もしたのでとりあえず忘れることにしました。

大人には大人の事情がありますよね。。。


と気になる点はありつつもかなりよい作品でした。
予告で敬遠して観ないままにしなくてよかったです。


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