孤児として育ちながら固い意志を秘めた、ガブリエル・“ココ”・シャネル。波乱に満ちた体験を重ねながら、彼女はやがて世界的なファッション・デザイナーとなる。常に新しい女性像を描き、ファッションを通して女性の解放、男女平等を謳ったココ。その姿はまさに現代女性であり、成功、自由、そしてスタイルの、時代を超えた象徴だった――。『アメリ』のオドレイ・トトゥ主演で贈る、ココ・シャネルの若き日を描いた伝記映画。
『ココ・アヴァン・シャネル』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮にて。
たとえ周囲の大多数がよいと言っているものであっても自身が認められなければそれを否定する勇気、信念。常に現実を冷静に見つめる強さがオドレイ・トトゥの表情や仕草から伝わってくる作品でした。非常によかったです。
本作品のよかったところは、ココの一生をすべて描くのではなく、あくまで彼女が成功する下地を作り上げた20代を描いている点です。彼女が成功しはじめるところとか、成功してからのことはほとんど描かれておらず、あくまでエンドロール直前にその様子がうかがえる程度です。彼女の人生を取り出しておいて、よりによってこんなところを切り取るなんてとてもユニークだなと感心してしまいました。
成功者の成功プロセスのみを描くこと*1はその成功者のシンパからは強烈な支持を得られるでしょうが、そうでない人にとってはさほどおもしろいものではありません。最終的には成功したという結果が分かっているわけですから、そこに至るプロセスのどこをどう見せるのかということが大事なのに、成功プロセスだけ観てもおもしろいわけがないのです。
そもそも成功体験から得られることというのは限られているとわたしは思うし、あえてここでそれを取り上げなくても成功者に関する本や映画というのは枚挙に暇がないくらいにたくさん転がっています。だからこそ、本当に伝えたい場所を選んでそこだけを作品としてまとめるという潔さにはとても感心させられました。
この作品のように成功の原点とも言える10代〜30代にかけての時期に着眼してそこだけを映画にすることで、彼女の人間としての強さや弱さが浮き彫りになってとても彼女が魅力的に感じられました。ココを、超有名ブランドの創設者という雲の上の人間という色眼鏡をとおして観ることなく、あくまで強くて器用でセンスのよい普通の女性として観ることが出来ました。
そういえば、本作品はやはり衣装が素晴らしくてココの着ている服のいくつかがものすごくかっこよくてとても印象的でした。
これ全部シャネルなんだろうな...高そうだな...と思いながら観てしまいました。
[参考]
公式サイトはこちら
*1:多少の失敗を描くとしてもそれが決定的なルートを変えるようなエラーでなければそれは成功プロセスのみと言ってもよいと思います