「見えない誰かと」読んだよ

見えない誰かと (祥伝社文庫)

見えない誰かと (祥伝社文庫)

あなたはひとりじゃない。きっとどこかにつながっている人がいる。人見知りが激しくて他人と打ち解けるのにも時間がかかったという筆者。親しくもない人と一緒に何かするくらいなら、一人でいたいという性格が、出会いによってどう変わったか。大好きな先生、かわいい後輩、一緒に働きたい友達…。誰かとつながっているよろこびを綴った初エッセイ。

http://www.amazon.co.jp/dp/4396335113

前向きに生きる人を見ていると、見ているだけの私もそれに引きずられるように前向きになれます。
逆に誰かの悪口ばかりを言ったり不平不満をこぼしてばかりいる人を見ていると、何だか自分まで不平不満が感じたり、悪口をいわれていた人のことを嫌いになってしまったような気分になってしまいます。
単に影響されやすいだけだろうと言われたらたしかにそのとおりなのですが、でもそばにいる人から受ける影響というのは決してバカには出来ないくらい大きなものだと思うし、だからわたしはなるべく周りの人に負の影響を与えないようにすることを目標としています*1


そんなふうに思っていたとしても不意に不満を漏らしてしまったり、面と向かって嫌なことを言ってくる人にはついつい不愉快な顔をしてしまったりすることはよくあるわけで、そんな自分の至らなさを痛感させられることもしばしばです。


本書はわたしの大好きな作家である、瀬尾まいこさんのエッセイなのですが、もう全編にわたって著者の作品から感じたような温かさが感じられます。さらにどんなに嫌な出来事が起こったとしても、彼女はその嫌なことそのものは直接書かず、その事象の中から何かしら自分が得たものや今後こうしようという教訓を書いているところにとても感銘を受けました。
短い人生だからこそ、ぜひこうありたいものだなとわたしは思うし、今まで以上に瀬尾さんに対する好感度が急上昇しました。


ちなみにこの本を読んで、先日読んだ「図書館の神様」という作品が著者自身の実体験に基づいていることを知りました。
エッセイって普段はあまり読まないのですが、こういう裏話みたいなのが読めるのは嬉しいです。


さて。本書を読んでいて、これは著者の作品の方向性というか本質を表しているなと感じた一節がありました。

はじまりやきっかけはめちゃくちゃであっても、いくつかの時間を一緒に過ごすと、何らかの気持ちが芽生えるんだなあって思う。毎日文句を言ってるうちに、一緒に登校しているうちに、気持ちが形を変えていったんだって思う。いつもいい方向に動くとは限らないけれど、接した分、やっぱり何かは変わっていく。


「天国はまだ遠く」や「図書館の神様」あたりはこういう考えが色濃く出ているような気がします。


瀬尾さんの本が好きな人であれば必読の一冊。

*1:ちょっと前までは嫌いなものは嫌いといえる人になりたいとがんばっていましたが、そんな生き方がどうにも肌に合わず今までどおり生きています