おっぱいバレー


赴任早々、ボールすらまともに触ったこともない弱小男子バレーボール部の顧問になった女性教師・寺嶋美香子(綾瀬はるか)。そんなある日、美香子はやる気のない部員たちと「試合に勝ったら、おっぱいを見せる!」という、あり得ない約束をしてしまったことで一転! 思春期ど真ん中の弱小バレーボール部員たちが“おっぱいを見る!”という、ただ1つの目標に向かって突き進んでいく――。

『おっぱいバレー』作品情報 | cinemacafe.net

渋谷C.C.Lemonホールにて。完成披露試写会で鑑賞。


いまだかつてこれほど公開が待ち遠しい作品はなかったと思うほど待ち焦がれた作品だったのですが、その大きな期待を決して裏切らないとてもおもしろい作品でした。とてもいい映画でした。


さて。まず最初に書いておきたいのですが、多くの方が気にしている「おっぱいが見れるのかどうか」問題について、ここではあえて言及しないでおこうと思います。やはりこの作品の核となる部分ですからそこはぜひ直接観てたしかめて欲しいなと思うのです。
この点についてひとつだけ書けるのは「観る前に予想していた展開ではなかった」ということです。こうなるとはちょっと予想していなかったなー、という意外性には期待してもよいと思います。


本作は非常に笑いのたえない楽しい作品でして、"サプリムービー"という売り文句が決して誇張表現ではない点にいたく感動してしまいました。観終わったときにはものすごく楽しい気分で満たされてとても幸せな気分に浸れました。


この作品のすばらしい点は男女ともに楽しめるという点です。
頭の中は異性のことばかりという性欲の権化のような中学生の思考/行動というのはドロドロとしたあまり目にしたくないようなものとして否定的に捕らえられがちですが、それを偽りなく、でも徹底的にキュートに描くことで、男性には共感を覚えさせつつ女性には不快感を与えずに受け入れられるような工夫がされていて、その描写のうまさにはとても感心させられました。
そして女性側にも共感のための視点と言うのが用意されていて、例えば中学生くらいの年代の子には「おっぱいが見たいとわめく男子に冷ややかな視線を送る」同級生の小島藤子の視点がとてもいい感じですし、それより上の年代の人には「大人として男子生徒の欲望を一身に受け止める」美香子先生の視点が適しています。このようにいくつもの共感ポイントを用意することで誰もが思い入れを持つことが出来るように工夫されていてその点がとてもうまいなと感心せずにはいられませんでした。


そしてこういう笑える部分ではないのだけれどもうひとつおもしろいと感じた部分があって、それは美香子先生が自らが犯してしまった過去の過ちとそれによって埋め込まれたトラウマを克服するという部分です。
人間が一度犯してしまった過ちというのはどうやってもその事実を消すことが出来ないし、消すことが出来ない以上は自分自身が忘れるしかないのだけどでもまじめな人ほど嫌だからと忘れることが出来ません。
美香子先生は教育実習*1で生徒たちに対してとってしまったある裏切り行為を後悔していて、その際に投げかけられた「嘘つき」という言葉をトラウマとして抱えているのです。そして彼女もまたとてもまじめな性格であるために、これを忘れて楽になることが出来ずにいるわけです。これを克服するためのイベントというのもこの作品には用意されていて、それが作品のコア部分である「おっぱいを見せる約束」にうまく絡んでいたのがとても印象的でした。


最後に、公開を楽しみにしている方には安心して楽しみにしていてよいと伝えて終わりにしたいと思います。


[過去にこの映画について書いた記事]


公式サイトはこちら

*1:教育実習だと明確に表現されたわけではないけれどあのシチュエーションは多分そうだと思う