1969年、夏。小学生のケンヂは、オッチョやドンキー、ユキジら同級生と空き地に秘密基地を作った。そこで彼らは、悪の組織や世界征服、人類滅亡計画、それを阻止する正義の味方といった空想が描かれた「よげんの書」で遊んでいた。1997年。ロックスターになる夢を諦め、失踪した姉の赤ん坊の面倒を見る、冴えない日常を送っていたケンヂ(唐沢寿明)は、お得意先一家の失踪とドンキーの死を機に生活が一変。巷では“ともだち”と呼ばれる教祖率いる教団が出現し、ケンヂたちが子供の頃に作った「よげんの書」そっくりの怪事件が頻発していた。これは、“ともだち”の仕業なのか? “ともだち”の正体は、かつて一緒に遊んだ仲間なのか? そして、「よげんの書」に書かれた人類が滅亡する“その日”がやってくる! 浦沢直樹の「20世紀少年」を『トリック』の堤幸彦が実写映画化。
『20世紀少年 第1章』作品情報 | cinemacafe.net
TOHOシネマズ宇都宮にて。
人気コミック「20世紀少年」の映画化...と言われても原作をまったく知らないのでぴんとこないのですが、世間の雰囲気から察するにかなりの話題作のようです。原作コミック自体もかなり人気があるようですし、キャストなんてかなり豪華なメンバーをそろえていて驚いてしまいました。
そして、その話題性というか期待に反して*1ネットでの感想はもうひどいものでして、そのたたかれっぷりは2年前に公開されたゲド戦記のことを彷彿させるほどでした。何だかそのようすを眺めていたら、「これは俺が観ないといけない作品だ」とよく分からない使命感を抱いてしまい観に行きたくなりました。そして思い立ったら即行動ということでその日のレイトショーで観てきました。
まず観終わっての感想ですが、この手の"つまらない"とか"面白くない"と叩かれている作品を観にいったときに口にしてしまう感想の1位に君臨する「案外/予想よりも面白かった」というのが大枠での感想でした。150分という長丁場をまったく苦に感じさせないつくりでとてもよかったですし、続く第2/第3章への期待も持ててとてもいいなと思いました。
ただ、つまらないという人の心境も理解出来るなと感じる部分も少ないわけではなくて、そういった点が原作のファンや過度に期待を高めてしまった人たちにとっては叩くだけの理由になりそうだなと感じました*2。
私としては前半あれだけ意味ありげにたくさんの種をまいていたので、後半にそれらが回収されることを期待していました。それが放置されたままになったり、すっぱりと忘れられているようなところがちょっと残念だと感じました。
私がこの作品を観ていてとても感心してしまったのは、子ども時代の配役と現代の配役がとてもマッチしている点でした。
誰がどれなのかという対応づけは、特に説明がなくとも自然と納得できるだけの説得力を感じました。特にユキジとドンキーのチョイスはとても好印象。こういう配役のうまさも作品の魅力のひとつであり、私がこの作品が好きだなと感じたのはこういった芸の細かさというか、細部についても手を抜いていないところなのです。
それで、もしこれから観にいく人で原作をまったく読んだことがない人がいたら、登場人物の相関図だけは一読していった方がよいです。仮にそれが多少のネタバレになったとしても、出てくる人たちの顔と関係を把握していた方が絶対にこの作品を楽しめるし、もしかしたら観ている間中、各自の関係性の把握に終始してしまって作品の面白さにまで気が回らないよりはぜんぜんよいと私は思います。
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