デトロイト・メタル・シティ


オシャレな渋谷系ミュージシャンを夢見て、大分の田舎町から上京してきた青年・根岸崇一(松山ケンイチ)。とびきり甘いポップソングでデビューするはずが、ふとしたきっかけで奇抜なメイクと演奏で人気を博す、悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」(=DMC)のギターボーカル“ヨハネ・クラウザーII世”として活躍する羽目に。憧れの美女・相川さん(加藤ローサ)には正体を隠し、苦悩する根岸青年だが、相反してDMCはスターダム街道まっしぐら。そんな中、凶暴極まりないデスメタルのカリスマ、ジャック・イル・ダークが引退を発表。DMCは彼らのワールドツアーの対バン相手に指名されるが…。松山ケンイチデスメタルのカリスマに変身する、若杉公徳原作の同名ギャグ漫画の実写映画化。

『デトロイト・メタル・シティ』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
渋谷系を目指してた青年がいつのまにやらデスメタル系バンドのボーカルに...というのっけから破天荒なストーリー展開ですが、そんなのは序の口と言わんばかりに次々と展開されるおかしなシーンの連続に笑いっぱなしでした。予告を初めて観たときから笑える作品を期待していましたが、その期待をはるかに上回るおもしろさには脱帽です。これだけ映画がおもしろいと原作もぜひ読んでみたいです。


そういえば冒頭の大学に入学した直後のシーンでカジヒデキの曲がかかっていて、懐かしいなーと思っていたのですが、直後のシーンで本人が歌っていてとても驚いてしまいました。まともに映像で見るのは10年以上ぶりなので、正直本人かどうか自信がもてなかったのですがあとで調べてみたらやはりご本人だそうです。この作品に楽曲提供をしていて、そのつながりで出演されたとか。
たしかに根岸の目指す音楽の方向性をリアルで追えば、カジヒデキはまさにその見本のような存在ですが、それでもまさか本人が出てくるとは予想外でしたので、とてもよいものを見せてもらった気分になりました。



それにしても松山ケンイチはなぜもこう役に溶け込めるのかと心底感心してしまいます。
彼はどんな役を演じてもいつも彼らしさというわずかなにおいを残しながらも、でもほとんどは役そのものと同化してしまいます。彼はいつも作品の雰囲気そのものを体現するかのように役を演じきっていてすごいなと思います。彼の出演作は大概観ているつもりですが、どの作品でも作品そのものになれるカメレオンのような演技力にはこの作品でも発揮されていました。


それと、この作品のヒロインとして加藤ローさが出ていたのですが過去のどの作品と比べても格段に演技がうまくなっていてびっくりしました。かわいさと朴とつな演技力が売りだと思っていましたが、今後大きく変わるかもしれません。前の出演作はスマイルだと思いますが、あの時とは雲泥の差です。



ひとつ残念だったのは、過剰におもしろいシーンを撮ろう/笑えるシーンを作ろうとしているのがミエミエで、狙いすぎている印象が色濃く漂ってしまい、苦笑いというか乾いた笑いしか出ないような微妙な空気になったシーンがいくつかあって、そういうシーンは観ているのがつらくなりました。笑わそうとする側のテンションと観ている側のテンションのずれがこの気まずさを生むのだと思いますが、まったくの他人同士があんなにきまずい空気を共有出来るというのはひとつの発見でした*1


ただ、それが狙いどおりにはまったときはたしかにすごく笑えるし、大事なのはさじ加減だよなーと思ったのでした。
DMCのファンのクラウザーに対する妄信っっぷりというか発言/言動なんてのはまさに狙いどおりに笑いをさそえていたと感じました。クラウザーが何をしても「さすがクラウザーさんだ...」というポジティブさには笑いが止まりませんでした。あと、後半おでこの殺の文字が変わるシーンがあったのですが、あれもすごく好きだなー。


観る前の期待どおり、笑える楽しめる作品でした。


公式サイトはこちら

*1:映画にはぜんぜん関係ないけど