奈緒子


長崎県波切島。喘息の療養のためにここに訪れた小学生の奈緒子は、走ることが大好きな少年・雄介と出会う。だが出会って間もなく、過って海に落ちた奈緒子を助けるために雄介の父が命を落として以来、2人の時間はそのままに止まってしまった。そして6年の月日が流れ、奈緒子(上野樹里)は高校陸上界で“日本海の疾風(かぜ)”と呼ばれる天才ランナーに成長した雄介(三浦春馬)と偶然再会する。2人の複雑な事情を知った陸上部の西浦監督(笑福亭鶴瓶)は、奈緒子をマネージャーとして歓迎。こうして奈緒子と雄介、そして高校駅伝長崎代表を目指す部員たちの忘れられない夏が始まった――。

『奈緒子』作品情報 | cinemacafe.net

渋谷アミューズCQNにて。
一人の男性を死なせてしまった事を後悔し続けて生きている奈緒子。そして自らの父親を死に追いやった奈緒子を憎しんでいた雄介。2人が互いを理解しあうために「走る」ことを媒体としてコミュニケーションを取る姿がすごくよかったです。


作中でも何度か出てきた発言・疑問なのですが、何であんなに苦しそうなのに走るんだろう?という疑問は誰しも感じたことがあるのではないかと思います。小中学校共にデブだった私は運動が大嫌いだったので、強くそう思っていました。でも、今では非常に好きな行為の一つに挙げられるくらい、走ることは大好きな行為の一つです。その経緯について少しお話したいなと思います。


3年ほど前。大学時代の先輩の結婚式にお呼ばれされた私は、あまりの喜びに披露宴の数ヶ月前にも関わらず着ていく予定だったスーツを着てみました。そして驚愕したのです。前よりもきつくなっている...。
体重計にのって見ると何と入社当時よりも5kgも増えてるではありませんか。もうびっくりしちゃいまして、その日から何か出来る運動は無いかと考えました。道具がなくて、今からでも始められるものと言えば走ることくらいしか思い当たりませんでした。
最初は1km走ることから始めたのですが、自然に体力もつき、それに伴って徐々に距離は伸びました。最大で12kmを毎日走ってた時期もあったのですが、仕事が忙しくなるとなかなかその距離を走ることは難しくなりました(12kmだと約1時間かかりますし、何より翌日の疲労が結構厳しいのです)。
あとは足に怪我をしてしまったせいで走れなくなったことも一度だけではなく何度かありました。
そんないろいろと紆余曲折がありましたが、今でも何とか走る続けています。最近は2〜4kmの短い距離ばかりですが、時間と体の疲労度を考えると適切な量です。


そんな今。走る事は楽しいかと言われると、すごく楽しいと答えます。
走り出して最初に1-2kmは結構しんどいのですが、その後の楽しさ、気持ちよさは病みつきになります。特に冬場なんかは、徐々に体が暖まってきて走るのが楽になってくるあたりで一気に楽しさが押し寄せてきます。
あとは走り終わった後の達成感が非常によいです。やりきったという感覚は非常に気持ちよいのです。快感といっても間違いではありません。


そんな私がこの作品を見て一番印象に残ったのは、走りきった時の達成感を感じられるラストシーンです。それまでに押さえ込んでいてさまざまな問題・不満がそこですべて一旦リセットされ、とにかくやりきったんだという開放感が強烈に感じられました。


あと。映像で一つ面白いなと感じたのは、雄介が前の選手をごぼう抜きにするシーンがあるのですが、その時に雄介の視点で映像が展開していくのです。まさに雄介になって前の走者を追い抜いていくところは自分が走っているかのように感じられてとてもドキドキしました。あれはすごくいいです。俺もあのくらい脚が速かったらなあ...なんて思いながら見入ってしまいました。


とにかく監督が話していたとおり、内容は至極シンプルな「走る」事のみに重きを置いた作品です。だから走るシーンが多いし、見ていて自分も一緒に走っているような気分になったりします。

走る楽しさ・苦しさ・快感が伝わってくる内容ですので、走ることに興味のある人も無い人もぜひ一度見てみてください。
お奨めです。

公式サイトはこちら


[追記]
サントラが出るようです。買わないと!!

「奈緒子」オリジナル・サウンドトラック

「奈緒子」オリジナル・サウンドトラック