働きすぎる若者たち 「自分探しの果てに」

バイク便ライダーとして実際に働いた経験を元に、過酷な労働実態とその状況についての詳細なレポートとしてまとめたのが前作。実体験が元になっているだけにリアルで面白い作品でした。
近作はそれとはちょっと趣きを変え、さらに過酷な状況にある福祉に関わる現場について詳しくまとめられています。


論点は

    1. 福祉業務は専門的な業務足りえるのかものなのかどうか
    2. なぜ労働対価(賃金)に見合わない労働を自ら進んで行ってしまうのか


の二点。
前者については、実際に福祉業務に携わった人の体験を通して確認した限り、専門的な労働ではありえないと断言しています。
また後者については目の前に居る人に何かしてあげたいという気持ちがそのようにさせてしまうのだと述べています。


どんな仕事でも頑張って続けていれば...と短絡的に考えず、まずは自らの携わっている業務が会社や社会に貢献しているのかどうか、また短期的にではなく長期的に必要とされる人材として成長出来る仕事なのかどうかをバランスよく果たしているのかどうか評価してみるのがいいようです。まずは目の前の仕事...と焦らずに冷静に検討してみたいと思います。


前作もそうですが、基本的には机上の空論に終わらずに実体験や実際にあった話を元に書かれているのがとても現実味が感じられます。


搾取される若者たち ―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)

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