ゼルダ無双 厄災の黙示録

ゼルダ無双 厄災の黙示録 -Switch

ゼルダ無双 厄災の黙示録 -Switch

  • 発売日: 2020/11/20
  • メディア: Video Game

1. プレイ時間 - 45時間
2. ジャンル  - アクションアドベンチャー
3. 機種    - Switch
4. 感想
 [良かった点]
 (1) ブレスオブザワイルドの世界観がとてもよく描けていた
 (2) 操作性の差異による違和感も慣れるとすぐに解消できた

 [悪かった点]
 (1) ある程度進むと全体的に単調になりがちで飽きてしまった
 (2) 時間に追われてただ敵を倒すだけに終始しがちだった
 (3) マップが見にくい
 (4) ストーリーに納得できなかった

※ ゲームの結末に関する内容もあるので未プレイの方はご注意ください

ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド(以下、BoW)の前日譚が無双シリーズとして発売される。初めてその話を耳にしたときの感想は決して前向きなものではありませんでした。

そのひとつめの理由は、ゼルダの伝説の登場人物を使った無双シリーズはこれが初めてではなく既に出ていてそれに対して個人的にあまりよい印象を抱いていませんでした。魅力のないプレイアブルキャラクター、1ステージが長過ぎて1時間以上もかかるステージがあってテンポが悪いこと、そして単調ですぐに飽きてしまうことなどもう不満を挙げればきりがないくらい自分には合わない内容でした。なのでBoWの前日譚というとても魅力的な題材を扱ったとしても最後まで楽しく遊べないだろうなと思っていました。

そして前向きになれないもうひとつの理由はBoWの前日譚であるがゆえにその結末を知っていたからでもあります。
BoWは大厄災で滅びたハイラルの世界の100年後を舞台とした作品であり、つまりその前日譚というのはおのずとその滅びる世界を描いたものとなります。始まる前から負けてしまうことが確定している戦いに挑むゲームが楽しめるのか?ととても不安になりました。

とは言え、やる前からネガティブ過ぎるのもどうかということで試しに体験版を遊んでみたのですが、見た目や音楽、SEなど細部までとてもBoWっぽくて感心したものの、肝心の操作感にかなり違和感があって「これはちょっと厳しいな」と30分ほどで止めてしまいました。見た目がそこそこ似ている分、操作感の違和感がすごく強く感じられました。

そんなわけで遊ぶ前からあまりよい印象はなかったのですが、とは言ってもBoWの前日譚がどうなのかは見てみたかったので発売日に買って遊んでみました。

まず体験版をやって違和感を覚えていた部分については2時間ほど遊んでいたらじょじょに慣れて気にならなくなりました。ジャンプできないところや武器が変えられないところ、あとはゲームスピードの微妙な違いには結構苦労しましたが少しずつ適応して何とか違和感なく遊べるようになりました。一度慣れてしまえばこういうものだと操作できるので操作性に関しては最初の数時間以外はほぼ苦労することはありませんでした。逆にいまからBoWをやると今度はそちらの操作が不慣れになっているような気がしますが、そのときはまたそちらの操作に慣らすしかなさそうです。

そして過去作、ゼルダ無双で感じていた不満についてですが、1ステージの長さは以前ほど長くなくて長いものでも30分から50分ほどで終えることができるようになっていたし、かんたんなミッションを合間に楽しむことで飽きにくくなっているなと感じました。実際に過去作のほうは10時間くらいで飽きて止めてしまったのですが、今回は45時間かけてクリアするところまで遊べたので飽きにくさという点では今作のほうが上だったのではないかと思います。
ただ、今作についてはストーリーの牽引力が大きかったというか、BoWの前日譚を知りたいという欲求がゲームを続ける大きな原動力となっていた部分もあったのでその影響力も決して無視できないとも感じています。


というわけでひととおり最後まで遊んだわけですが、ゲームを終えての感想は「こういうパターンかよー」という一言に尽きます。

冒頭でも書いたとおり、わたしにとってこの作品はBoWの前日譚であるという売り文句がすべてであり、そこにしか興味がなかったとも言えます。極端な話をすれば、例えばこれが公式からノベライズとして出されたのであればその本を買って読むだけだし、映画として公開されたのであれば映画を観るだけです。つまり無双シリーズというフォーマットでアクションゲームとして提供されたから遊んだだけで、わたしにとってはストーリーを知ることができるならその形式は何でもよかったと思っています。

そのわたしにとって今回のストーリー展開はかなり残念なものでした。
BoWの100年前というスタート地点はたしかに同じでしたが、そこからの展開はBoWから見えた過去とはどんどんかけ離れていってしまい、いわゆるパラレルワールド的な物語となりました。過去と現在がリンクしてミックスされ、そしてまったく新しい過去の物語が生まれる。そう言ってしまえばこれはこれでありなのでは?と思ってしまうのですが、でもやはり自分にとってこれはBoWの前日譚ではないなと、わたしが見たかった物語ではないなと思って拒絶してしまうのです。

ただ、BoWの100年前を描くと言われた時点でわたしはおそらくこうなる可能性を予感していたんだろうなと思っています。バッドエンドが確定している物語をプレイヤーにやらせるのか?というと、その可能性はゼロではないものの、新作ゲームとして提供する以上はおそらくそうはしないだろうなという確信に近い予感はありました。でもBoWの100年前が見れるかも知れない、生きている英傑たちに会えるのかも知れないと思うと手を出さずにはいられなかったし、これはもう仕方ないことだとも思います。自分の期待していたものではなかったというだけです。


ゲームとしての出来はとてもいいと思いますが、そこだけはどうしても受け入れることができませんでした。


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