- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/06/10
- メディア: 文庫
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釜ヶ崎のドヤ街に暮らす僕に、奇妙な依頼が舞いこんだ。金持ちの奥さんの話を小説に書けば、三百万円もらえるというのだ。ところが彼女は勝手気侭で、身の上話もデタラメばかり…。彼女はなぜ、過去を語らないのか。そもそもなぜ、こんな仕事を頼んでくるのか。渦巻く謎に揉まれながら、僕は少しずつ彼女の真実を知ってゆく。
http://www.amazon.co.jp/dp/4167901145
いままで読んだ森さんの本とはちょっと雰囲気が違いましたがでもとてもおもしろかったです。
物語自体がとてもおもしろかったのですが、それだけではなく物語の組み立て方というか冒頭で何の前置きもなく唐突に話が始めておいてそこから時間軸を戻して徐々に全容を明らかにしていくという映画だとよく見かける演出がこの作品ではとられていたのですがこれがとてもうまく機能していたのがとてもよかったです。
「映画だとよく見かける」と書きましたがこれがうまく機能している作品はあまりなくて、大抵は「あのシーンにつながるってことは...」という感じで冒頭のシーンがただのネタバレにしかなってないことが多いです。だからこそここまでうまくつなげて見せてくれたことにちょっと感動しました。
きっちりと伏線を回収しつつ、物語への余韻と未来を感じさせたあのラストは最高でした。