「ラン・オールナイト」見たよ


殺し屋として闇の世界に生きるジミー(リーアム・ニーソン)は、仕事のために家族を捨て、一人息子のマイク(ジョエル・キナマン)とも疎遠になっていた。しかし、ある日、殺人現場を目撃して殺されそうになっていたマイクを救うため、NYを牛耳るマフィアのボスの息子ダニーを射殺してしまう。ボスのショーン(エド・ハリス)とは固い絆で結ばれた30年来の親友だったが、息子を殺されたショーンは、嘆き、怒り、ジミーに宣告する。「お前の息子を殺して、お前も殺す」と。朝が来る前にジミーたちを葬ろうと、ニューヨークは今、街中が敵となった。父と子の決死の戦いが始まる――。

『ラン・オールナイト』作品情報 | cinemacafe.net


なぜ歳をとると保守的になる人が多いのか?と不思議に思ったことがあるのですが、おそらく失いたくないものが増えるからだろうなという結論に達しました。歳を重ねていくなかで、大事なものをたくさん見つけて抱えきれないほど手にした人はそれを失いたくないがために保守的な思考・行動におちいるんだと気付いたのです。

誰だって大事なものは失いたくないわけですから保守的になることそれ自体は決して悪いことではないのですが、でも若い人からみればそういった所有物に執着している姿は決して見栄えのいいものとはうつりません。どれだけお金や権力をもっていようが、それに執着しているのを見るとかっこ悪いなと思ってしまうのです。

逆にたとえ多くの人がうらやむようなものを何ももっていない人であっても、執着をもたずに生きている人がわたしには魅力的に見えます。
どうせ死ぬときはなにも持っていけないんですから、そういった「持っていけないもの」にみじめったらしく執着するようなことはしたくないと常々思っています。

今はまだ欲のかたまりみたいな人間なので想像すらできないですけどね...。


本作の主人公ジミーはわたしが理想とする「何ももたない人」そのものであり、家族とも離れて暮らし、日々のお金にも困るような生活を送っているのですが、その日常風景がわたしにはグッと魅力的にうつります。目の前にある生を手放さなず、ただただ時間に流されるだけの余生を送っているジミーのことがとてもうらやましく感じたのです。

そんな「自分には大事にしなければいけないモノなんてもう何もない」と思っていたジミーが、唯一残っていた大事なモノのために自らの命を削ってでも守ろうとする心境の変化がとても伝わってきて胸が熱くなりました。つねに強くてかっこいいパパ役が似合うニーアム・リーソンですが、この作品のような「ふだんはとことんダメなんだけどいざと言うときには死力を尽くして戦う」という設定もすごくよくて興奮するしこれはこれでとてもステキだったなと思いました。

とてもおもしろかったです。


ただ、一点だけどうしても嫌だったのは冒頭でラスト間際のシーンをちょっぴり見せてしまったことです。

冒頭で印象的なシーンをうつして興味を惹きつけておいて「そのxx日前」みたいに時間をさかのぼるというのはわりとよくある手法ではあります。ですが、この作品が最初に見せたのは本当に最後の方のシーンだったために、その後どんなに緊迫感あふれるシーンを観ていても「どうせあそこまでは大丈夫なんでしょ」みたいな感じで没入できなくなってしまいました。

冒頭でわざわざ見せなきゃいけないシーンでもなかったと思うし、あれがなければもうちょっと楽しめただろうに...と思わずにはいられませんでした。


@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞


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