「グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜」見たよ



カンザスシティの職業紹介所で働くキャリー(リース・ウィザースプーン)は、スーダンの内戦で両親や住む家を失った、“ロストボーイズ”と呼ばれる難民のマメール(アーノルド・オーチェン)と二人の仲間を就職させるという仕事を任せられることに。しかし、電話を見るのも初めて、車に乗せると一瞬で酔い、マクドナルドもピザも知らない彼らを就職させることは彼女にとって最難関のミッション。当初は彼らにイラつくキャリーだったが、その成長を見守るうちに思いがけない友情が芽生え、彼女の生き方さえも変えていく…。

『グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜』作品情報 | cinemacafe.net


内戦で家族や住む場所を失った子どもたちが1200km以上の道のりを歩いてケニアの難民キャンプまでたどり着き、その後13年の年月を経てアメリカへ移民として移り住むというお話。家族を失うシーケンスやケニアにたどり着くまでの日々の描写はとても凄絶で、ちょっとした判断の差が命を失うことになる過酷な世界というものがどんなものなのかということが丁寧に描かれていました。

明日に命をつなげられることが当たり前のことであるわたしの住む世界とはまったく異なる世界。

生をつかむことそれ自体が困難な世界というのが今でもたくさんあって、そこに生きる人たちが見えている風景がどんなものなのかが伝わってきてとてもやるせない重苦しい気持ちになったし、こういう作品を観たときお決まりの何とも言えない表情をしながら鑑賞しました。


その後、アメリカに移住してアメリカでの生活に慣れていく様子を描いていたのですがこのあたりは観ていて微笑ましく感じるシークエンスが多くてとてもよかったです。大きなビルや電話など初めて見るものばかりで戸惑う様子は微笑ましく感じたし、そしてそんな新しい世界にじょじょに順応していく適応能力の高さにたくましさを感じました。

さらに異文化を受け入れる柔軟さを見せつつも、譲れない部分は譲れないこととして貫こうとする強さには頼もしさもおぼえたし、そういった主人公たちの要求を受け止めてくれるアメリカの人たちの懐の広さにはとても感心しました。ルールはルールとして必ず守るけれど、そのルールを破らない範囲においては出来る範囲で手を差し伸べようとする人たちの存在が多かったことがとても記憶に残っています。


というか、この作品にはアメリカ移住以降は全体的にすごくいい人ばかりが出てきていたなという印象を受けました。

スーダンから移民として移り住んできた人たちに対してとても親切に振る舞う人がほとんどで嫌な人は本当に一握りしか出てこないし、その人たちが主人公たちを困らせるようなことはありません。

そのため全体的に安心して観ていられるというか、主人公たちが不当な差別などに悩まされることはないのでストレスなく観られてよかったのですが、あまりにいい人ばかりが並べられてしまうと逆にアメリカに対する印象を良くするためにこういう描写にしてるんじゃないかと勘繰りたくなってしまいたくなるほどです。


あとはラストの「グッド・ライ」に関する部分については個人的にはちょっといただけないなと思ったのといまいち納得できなかったのですが、全体として見ればすごく良い作品だったと思います。


@TOHOシネマズで鑑賞


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