「キリングゲーム」見たよ


ユーゴスラビアボスニア紛争でそれぞれ地獄の戦場を経験した立場の異なる男たち。退役してから家族とも疎遠になり、人里離れた山小屋で独居生活を静かに営む元アメリカ軍人のベンジャミン。そこにセルビア人の元兵士・コヴァチが現れ、かつて戦場で出会ったベンジャミンに対して“人間狩り”を容赦なく仕掛けてくる。戦争の凄惨な記憶を封印してきた男と、いまだ戦争を終わらせていない男。彼らは過去に決着をつけるため、世間から隔離された場所で、1対1の孤独な者同士の戦争になだれ込んでいく…。

『キリングゲーム』作品情報 | cinemacafe.net


MOVIX宇都宮で観てきました。


最近はめっきりみなくなりましたが、中学高校の頃はプロレスが大好きでした。
ただ東北の片田舎に住む10代男子が生でプロレスを見ることなどできるはずもなく、とにかくわたしにとってプロレスと言えばテレビで見るものと相場は決まっていました。

当時のプロレス番組と言えば、土曜日深夜に放送していたワールドプロレスリング(新日)と日曜日深夜に放送していた全日本プロレス中継*1(全日)がありました。どちらも録画して繰り返し何度も見ていましたが、比較的ワールドプロレスリングの方が好きでそちらを見ることが多かったです。新日好きでしたし。


さて。

プロレスに限らず、どんなものにもお決まりの展開というか定石というか一種のお約束ごとというのはありますが、プロレスにももちろんそういったものがあります。その中でとくにわたしが好きだったのはエルボー合戦です。

プロレスというのは相手の技を受け切ってなんぼですから、相手の技をかわさずに受けていかに効いていないのかということをアピールするというシチュエーションがよくありますが、エルボー合戦というのはお互いに一発ずつエルボーを打ち合って最初に倒れた方が負け*2といういたってシンプルなイベントです。

エルボー合戦という名前をわたしは付けていますが、これはエルボーに限らず水平チョップだったりただのチョップだったりもします。
ただわたしがあえてこれをエルボー合戦と呼ぶのは、大好きな三沢選手がこのシチュエーションになると得意のエルボーで多くの選手を打ち負かしていたためです。


自分の全力を相手に一発だけぶつけて、それで相手が倒れなければ次は相手の得意な一発を受けてみせる。そしてそれを受け切ったらまた自分の全力を相手にぶつける。それをどちらかが倒れるまでずっと繰り返します。


このように「お互いの得意技をぶつけ合って我慢比べをする」というたいへんシンプルなやり取りであるが故に負けた方は言い訳ができませんし、勝てば自分の力が上であることを相手や観衆に見せつけることができます。この合理的でわかりやすいエルボー合戦はプロレスで盛り上がるワンポイントです。


本作「キリング・ゲーム」は遺恨を残している2人の軍人が殺し合うというただそれだけのお話なんですが、どちらか一方が徹底的に相手をいたぶるというものではなく、上述のエルボー合戦のように攻撃側と受ける側が逐次入れ替わりながら物語はすすんでいきます。一方が相手の生殺与奪権を握ったかと思えば、次の瞬間にはその立場が逆転していたりと状況は刻一刻と変わっていきます。

これは一方が、相手を殺すことだけが目的ではなく懺悔させようという意図があったためにこうなったのですが、そのおかげで常にまるでエルボー合戦のように両者が全力を出す姿を見ることができてとても楽しめました。


公式サイトはこちら

*1:番組名はちょっとあやふや

*2:試合に負けるというわけではなくそのやり取りにおける勝敗です