2回目の18歳


わたくしごとではございますが本日で36歳になりました。



↑同じ部署の後輩からもらいました


30歳を過ぎてからはそれまで以上に年を取るのがあっという間でして、誕生日が終わったと思ったらまた誕生日みたいな印象を受けます。そのため、ここ数年はいちいち何歳になったなんてことを気にすることはなくなっていたのですが、唯一36歳という年齢には自分なりには思うところがあります。


人生にはいくつかターニングポイントとなる出来事があると思いますが、わたしにとってもっとも大きな転換期は大学入学でした。

生まれてからの18年間を過ごした秋田を離れて、山形で大学生活を送る。

文章で書いてしまえばたったこれだけのことなのですが、「初めての一人暮らし」や「知っている人のいない場所での生活」はわたしにとってはとても大きな変化でした。食事や洗濯といった身の回りのことだけでなく、手続きや毎月の支払などを自分がぜんぶやらなければならない立場になってみてあらためて親のありがたさを実感したし、人間関係をゼロから構築しなければならないことは大変でしたが、過去のしがらみがない関係もまた良いものだと知りました。


当時のわたしは親元を離れて暮らしているだけで親から仕送りをもらって生活している以上は親の庇護の元で生きていることには変わりありませんが、それでも日常の多くのことを独力で乗り切らなければなりませんでした。例えばたいへん小さなことですが朝起きるのも自分一人で起きなければ誰も起こしてくれないし*1、体調を崩して寝込んだときに面倒をみてくれる人は誰もいません。


そういった大変さはありましたがでも大学に入ってからの6年間は本当に楽しいことばかりでした。

  • 好きな時間に寝て、好きな時間に起きる
  • 好きなバイトを選んで働いて、好きなモノを買う
  • 好きな講義を聴講して、好きなだけ単位を取る
  • 好きな研究室に所属して、好きなことを研究する


好きなことを好きなだけできることは嬉しかったし、その結果として痛い目を見たとしても自らがすすんで選んだことなのだからと受け入れることもできました。そういうひとつひとつの経験を積み重ねていくことで、どんなことであっても自らの選択・行為の結果はすべて自分の責であることを思い知らされることもたくさんありました。そして自由だというのはこういうことなんだなということを身をもって理解しました。


そして18歳にして自由を得てから18年のときが経ちました。


話は変わりますが、わたしの大好きなライターで山田ズーニーさんという方がいます。
ほぼ日で「おとなの小論文教室」というコラムを書いていて本もたくさん出しているのでご存知の方も多いと思いますが、わたしはズーニーさんの本が大好きで新しい本が出れば読むし何となく煮詰まったときには以前読んだ本を読み直してあれこれ考えるきっかけにしています。

そんなズーニーさんの本の一冊に「17歳は2回くる」という本があります。

17歳は2回くる おとなの小論文教室。(3)

17歳は2回くる おとなの小論文教室。(3)


いろいろと詰まった内容ですが、タイトルに関係する部分を一部抜粋するとこんな感じの内容です。

 かなり乱暴だけど、「人は2回17歳を迎える」と思う。

 なんのことはない、私自身が、「自分は何ものか?」ゆらゆら、悩みまくった年があって、いい大人になって、なんでこんなにゆらゆらするんだろう、と数えたら、社会に出て、ちょうど17年目だった。
 社会人の17歳。
 大卒なら39歳前後、高卒なら35歳前後、中卒……。これは、びみょーだなあ、だって中学生って、1回目の17歳もまだだもんなあ。
 とにかく、そのくらいで社会人の「思春期」がくる。かなり乱暴な説だけど、私はそう思ってる。

 ふと、自分の存在が揺らぐのは、何かの成長の証なんだろうなあ。
 なんかやって17年もすれば、なにがしかの能力や経験がついてくる。そしたら、ちょっとした陣痛は起きる。自分なりのスケールで、その先に進むための陣痛。


17〜18ページ


これを初めて読んだのは27,8歳の頃だったと思いますが、読みながら「自分の場合は18歳かな」なんて考えていました。

上でも書いたとおりわたしは18歳で一人暮らしを始めたのですが、県外の大学にすすむことを決めたことは自分にとっては大きな決断でした。住み慣れた地元を離れるなんてまったく考えたこともなかったわたしが、たとえ不慣れな一人暮らしをしてもいいから県外に出たいと決意するに至ったのはやはり自分の中で新しい一歩を踏み出したいという気持ちが生まれたからだと思います。当時は心境の変化の理由について考えたこともありませんでしたが、この本を読んだときに腑に落ちた気がしました。


そして独り立ちをする決意をした18歳の18年後、つまり36歳の年にわたしはまた何か大きな決意をすることになるんじゃないかとこの本を読んで以来ずっと考えていました。そして実際に36歳になってみると、転職活動はもう5年以上していませんし、引っ越す予定もなくいまのところ大きな決断に踏み込むようなゆらゆらした気持ちにはなっていないようです。

まだ36歳になったばかりなのでこれからの1年でなにか大きな変化があるかも知れませんし、そういった胎動がないのも仕方がないのですが、できればこの一年を新しいことを始める一年にしたいと思っています。大きなことではなくてもいいので、とにかくいままでやったことのないことをやってみようということだけは決めています。


なんかしょうもない思い出話を書いてしまいましたが、来年の37歳の誕生日を笑って迎えられる一年にします。


(関連リンク)

*1:わたしは朝が弱くていくら寝ても朝はなかなか起きられません...