- 作者: 碧野圭
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/03/16
- メディア: 文庫
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吉祥寺にある書店のアラフォー副店長理子は、はねっかえりの部下亜紀の扱いに手を焼いていた。協調性がなく、恋愛も自由奔放。仕事でも好き勝手な提案ばかり。一方の亜紀も、ダメ出しばかりする「頭の固い上司」の理子に猛反発。そんなある日、店にとんでもない危機が……。書店を舞台とした人間ドラマを軽妙に描くお仕事エンタテインメント。本好き、書店好き必読!
書店ガール | 碧野圭著 | 書籍 | PHP研究所
本屋の窮状とそれを打破しようと頑張るひとたちの姿を描いた作品でしたが、話としては文句なしにおもしろいことは認めつつも、実際には本心から好きだとは言い切れないところのある作品でした。
わたしは本でも映画でも食べ物でも人間関係でも強烈に嫌いだというものは少なくて、比較的どんな作品でも抵抗なく受け止められる方だと思います。合わない作品であってもどこかに楽しめるころを見つけたり、楽しくないこと自体を楽しんだりするスキルがあるのです。
ぶっちゃけ、わたしには楽しむことに関してちょっとした才能があるとさえ思ってたんですよね...。
ところが、本書のメインキャスト二人である理子と亜紀のキャラクターは本当に不愉快で、最初の50ページくらいは読むのを止めたいと思いながら読み続けました。互いに自分自身の正しさを疑うこともせず、相手の非をあげつらって攻撃するその陰湿さにドン引きしてしまい、もうほんとこれは嫌だなと心底思ったのです。
もちろん「当初は仲の悪かった二人が仲良くなる」というのはよく使われる手法ですし、正確にギャップがある者同士を扱った方が話はおもしろくなるというのは分かります。この作品も最初に理子と亜紀が異常に仲が悪かったからこそ「性格の不一致はあるけど本屋の現状を憂う気持ちは同じ」というところが浮き彫りになるわけですから、この構造自体を非難したいわけではないんですよ。
ただ、個人的には最初の演出がやり過ぎたせいで、それを最後まで引っ張ってしまったという感じなんですよね...。
話が進むにつれて理子と亜紀が互いを認め合って打ち解けあっていき、登場人物たちは一丸となっていく。そこがこの作品の盛り上がるいいところだと思うのですが、わたしは最後の最後まで最初の不快感をぬぐうことはできませんでした。
最初に書いたとおり、話はものすごくおもしろかっただけに残念でした。