今日は仕事を終えて帰ろうと思ったら雨がザーザーと降ってまして、しょうがないので妻に車で迎えにきてもらったいとっとです。何歳になっても人に頼ってばかりの甘えん坊将軍ですいません。
今日は来月1日から価格が再改定されるTOHOシネマズの鑑賞料金がなぜダメなのかということについて延々と述べたいと思います。長いので本文は暇過ぎてやることがないときに読んでみていただきたいのですが、結論について一言でまとめると「値上げしたために失敗したのにさらに値上げしている」からです。詳しくは続きをどうぞ。
さて。みんな大好きTOHOシネマズが、一部の劇場で今年の4月から料金改定を行ったことは記憶にあたらしいのですが、その改定の結果があまり芳しいものではなかったらしく半年で元のサービス体系に戻すことになりました。
シネコン最大手のTOHOシネマズ(東京)は28日、来春から全国で実施することを検討していた映画の一般入場料の値下げを取りやめると発表。シニア料金など従来の割引制度を継続させた方が、より多くの集客を見込めると判断した。
観客数の伸び悩みを解消しようと、一般入場料1800円を1500円に、高校生1500円を千円に引き下げる方針を決め、3月から7県のシネコン7施設で試験的に実施。その結果、入場者数は全国平均と比べて約5%減少し、逆効果となった。
http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011102801000603.html
わたしの最寄りの映画館であるTOHOシネマズ宇都宮は、偶然にもこの価格改定対象の劇場でして半年間この料金体系でお世話になりました。数えてみると、この半年間で60作品をTOHOシネマズ宇都宮で観ているのですが、さすがにこれだけ足を運んでいるといろいろと思うところがあるわけでそれについて一言申し上げたいと思います。
と、言いたいことを言う前に、まずは実情を知っていただいた方が話が早そうなので客観的な事実として今回の価格改定の影響がどのようなものであったのかをまとめたいと思います。
鑑賞コストの変化
年 | 月 | 合計鑑賞本数 | 鑑賞料金 | 平均単価 |
---|---|---|---|---|
2010年 | 1月 | 5本 | ¥4,700 | ¥940 |
2月 | 11本 | ¥11,100 | ¥1,009 | |
3月 | 7本 | ¥7,200 | ¥1,029 | |
4月 | 10本 | ¥8,600 | ¥860 | |
5月 | 本 | ¥5,000 | ¥1,000 | |
6月 | 9本 | ¥7,000 | ¥778 | |
7月 | 6本 | ¥5,200 | ¥867 | |
8月 | 9本 | ¥9,200 | ¥1,022 | |
9月 | 6本 | ¥4,200 | ¥700 | |
10月 | 10本 | ¥6,600 | ¥660 | |
11月 | 13本 | ¥4,600 | ¥354 | |
12月 | 6本 | ¥6,800 | ¥1,133 | |
2011年 | 1月 | 5本 | ¥5,000 | ¥1,000 |
2月 | 9本 | ¥8,600 | ¥956 | |
3月 | 3本 | ¥2,200 | ¥733 | |
4月 | 7本 | ¥7,200 | ¥1,029 | |
5月 | 12本 | ¥13,300 | ¥1,108 | |
6月 | 7本 | ¥8,200 | ¥1,171 | |
7月 | 8本 | ¥9,200 | ¥1,150 | |
8月 | 7本 | ¥8,600 | ¥1,229 | |
9月 | 9本 | ¥11,100 | ¥1,233 | |
10月 | 10本 | ¥11,700 | ¥1,170 |
新料金の適用は2011年4月から始まりました。
この数字だけ見てもよくわからないしなんとも言いがたいのですが、ただ平均鑑賞単価だけはやや高くなっているようすがうかがえます。本数とか料金の変化はちょっとアレですね。よくわかんない。
そういう時はとりあえずお決まりのグラフ化をしてみましょうということでやってみました。
まずは「月間鑑賞本数の推移」をグラフ化します。
茶色の横棒が月間平均鑑賞本数になっています。TOHOシネマズ宇都宮で月に観る本数の平均は約8本。
オレンジの縦棒が新料金適用前後を分ける境目となっているのですが、今年の4月以降に鑑賞本数が増えたり減ったりということは特になさそうです。ちょっと減ったかなとも思いますが、上映している作品の影響もありますのでまあ誤差の範囲かなと。
次に「月間鑑賞料金の推移」をグラフ化します。
茶色の横棒が月間平均の鑑賞料金の合計になっています。TOHOシネマズ宇都宮で月に使う料金の平均は7,514円です。
鑑賞本数と同じくオレンジの縦棒が新料金適用前後を分ける境目となっているのですが、こちらはすごく分かりやすくて今年の4月以降、毎月TOHOシネマズにお支払いするお金が増えています。↑で鑑賞本数が増えたわけではないと書いているとおり、観た本数自体は変わってないので鑑賞単価が上がっているのはこれで確定。
もう結果は出ていますが、とりあえず平均鑑賞単価も計算してみましょうということで、次は「月間平均鑑賞単価の推移」をグラフ化してみます。
茶色の横棒が月間の平均鑑賞料金になっていますが、ご覧のとおり4月の改定以降は平均鑑賞単価は平均料金を上回り続けています。
ただグラフの縦軸の高さが、平均単価差異に比べて大き過ぎるためかその差異がわからりにくいので、全体の平均から差異をグラフ化してみました。
これだけはっきりと出てくれると清々しいですね。明らかに鑑賞単価ががっちりあがっています。がっちりマンデー!
そりゃ今まで6本観たら1本タダになっていたのがタダにならない上に、メンズデーも廃止された日には鑑賞単価が高くならないわけがないんですよね。ただこれについては半年前に書いたエントリーで既に指摘していたことですし、むしろ思ったよりも平均単価が上がっていないことがおどろきでした。
観る時間の変化
時間帯 | 鑑賞本数(改定前) | 鑑賞比率(改定前) | 鑑賞本数(改定後) | 鑑賞比率(改定後) |
---|---|---|---|---|
08:00-12:00 | 44本 | 37.9% | 24本 | 37.5% |
12:00-16:00 | 6本 | 5.2% | 7本 | 10.9% |
16:00-20:00 | 20本 | 17.2% | 8本 | 12.5% |
20:00-24:00 | 46本 | 39.7% | 25本 | 39.1% |
これはもうグラフ化するのが面倒なのでフィーリングで分析しますが、朝も夜もほぼ鑑賞頻度は変わらないのですが唯一12時から16時までの鑑賞本数が増えています。これは「レイトショーの廃止」と「鑑賞料金が1200円に平坦化されたこと」に影響を受けて、土日の日中に映画に行く機会が増えたためだと思います。
とは言え、本数でいうと大した本数ではないので誤差と言えば誤差なのかも知れません。
あとは曜日ごともまとめようと思ったのですが、金土日に偏る傾向に変わりはなかったのでここでは割愛します。
まとめ
客観的なデータから導き出される結論としては「鑑賞単価は上がったけど時間によらず常に1200円で観られるようになったおかげで比較的自由な時間に鑑賞するようになった」ということになります。
これについてはわたしが感じていることとまったく一致しておりまして、鑑賞単価が多少上がっても料金に縛られることなく*1観る時間帯を選べるのはすごくいいと思います。
だからわたしの感想としては、この価格改定はそんな悪いモノとは思いませんでした。
基本的には「わたしのような放っておいても映画館に行くような利用者」よりも「あまり映画館に来ないような人に選んでもらおう」という狙いでしょうから、わたしにとってのベストだったとは思いませんが、でもこれで映画館にくる人が増えるならそれはそれでいいかなと思える程度だったんです。好きな時間に観に行くようになったということを考えれば、ベターだったと褒めてもいいと思います。
そしてその改定が芳しくない結果に終わったというのはとても残念ですが、何事も試してみなければわからないこともあるわけでこれもまたしょうがないことだと思うんですよ。なにも変えようとしないことよりは、少しでも変えてみようという方が前向きでよいです。
ただ、今回の結果を受けて出したTOHOシネマズの対応だけは納得できないんですよね。
価格やサービスの大半を元に戻すというのは理解できるのですが、以下の3点については納得できないんですよね。納得出来ないというか意図が理解できないんですよ。
-
- 鑑賞ポイントは廃止(6回観たら1回無料のアレ)
- vit割の廃止(ネットでチケット取ったら-100円のアレ)
- 会員の料金だけは据え置き(会員はいつでも1300円だけどそれ以外は1800円)
結局、今回の改定で分かったことって何か?と言えば、「前売り券もあるんだし、300円安くしたくらいじゃ誰も観に来ないよね」ということと「平均鑑賞単価が上がっちゃうから日頃から愛用してた人は別のシネコンに行っちゃうよね」の2点だと思うんですよ。
つまり、今回の改定はヘビーユーザーにもライトユーザーにもさほどおいしいものではなかったことなんです。今回の失敗は挑戦した結果なんだからしょうがないとしても、この2点だけは学ばないといけないと思うんですよ。
ところが、今回行った3点の変更は明らかにこの結論を無視しちゃってるんですね。
鑑賞ポイントの廃止は結局鑑賞単価を引き上げることになるし、vit割の廃止はネットでチケットをとるメリットを一切なくします。さらに会員だけの割引に限定することで、ライトユーザーも置いてけぼりにしちゃうんですよ。
ねー、ねー、この変更でいったい誰が喜ぶとおもってるの?
ヘビーユーザーは鑑賞料金がまた上がって離れていくし、ライトユーザーは鑑賞料金が1800円に戻ることであえて選ぶ理由が無くなります。いったいどうしたいのかさっぱり分かりません。本気で原因について分析したのかどうか怪しいレベルで意味が分かりません。
もし今回の失敗の原因について「利用者は価格で観る映画館を選んでない」と思ってるんだとしたら、それはたぶん間違いです。宇都宮のようにシネコン同士が近くにあって、さらに両方で同じ映画を流していたら、あとは立地か価格くらいしか選ぶ理由なんてないです。
普段は断言なんてしないけど、これについては断言できます。
そして今回の改定がなんで失敗したのかというと、価格改定が中途半端だったからなんですよ。あえて選びたいとおもほどの価格差になってないんです。会員にならなければ前売り券を使うよりも高い値段でしか観られない程度の値下げで利用者を呼ぼうなんて甘かったってことなんですよ。
わたしが今回の価格改定がダメだと断言する理由は「実質値上げとなった価格改定で失敗したのに、また値上げしているから」です。
TOHOシネマズのサイトには「映画料金の民主化」という言葉とともに値下げします的なことを書いていますが、ヘビーユーザーにとってもライトユーザーにとっても実質的には値上げとなっているんですよ。サービスデーなり前売り券を使えばもっと安く観られたのに、それらを全部取り上げて一律値下げされたって敏感な人だったら値上げだって気付くしそりゃ逃げたくもなりますよ。好きな時間に1200円で観られることをメリットと思える人ばかりじゃないってことですよ。
しかもそうやって値上げした結果が失敗だったのに、また値上げしますってもうやる気あるの?と言いたくなるレベルですよ!奥さん!
あんまり書くと特定されてTOHOシネマズに行きにくくなるので、これくらいにしておきますが、とりあえず12月からの価格改定は前回と違って一切のメリットが無いただの値上げなので、この是非についてはもうちょっと真面目に考え直してほしいなと思います。
とまあいろいろと書いてしまいましたが、なんだかんだ言いながらもTOHOシネマズは居心地もいいし、午前十時の映画祭や上映作品も好きなのが多くていつも足を向けてしまいます。昨年観た173作品のうち、97作品はTOHOシネマズで観てるわけですからどれだけ好きなのかはそこから察して欲しいのですが、だからこそ今回の価格改定はなんだかがっかりしちゃったんですよね。
私個人としては、鑑賞ポイントを復活させるか、vit割を復活させて現状維持をしてくれるだけでもうれしいかな。
今後改善されることを期待しています(おしまい)
(関連リンク)
*1:縛られるというのはレイトショーとかメンズデーとか気にしなくてもいいという意味で