医療の最高峰、帝華大学病院の医師・曾根崎理恵(菅野美穂)。天才医師である彼女は、廃院寸前の小さな産婦人科医院「マリアクリニック」で院長代理も勤めている。しかしそこではあるうわさが…それは禁断の“治療”とよばれる行為について。病院に通うそれぞれ事情を抱えた4人の女性たち。その謎を嗅ぎつけ、同じく帝華大学病院に勤めるエリート医師・清川吾郎は理恵の周辺を探り始める。果たして病院に隠された計画とは…?
『ジーン・ワルツ』作品情報 | cinemacafe.net
(注意)
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宇都宮ヒカリ座にて。
作品のテーマはすごく面白いと思うのですが、それがうまく生かされていない点が非常に残念に感じられました。
長い年月をかけて私の中に築き上げられた「菅野美穂の出ている作品は面白い伝説」の唯一の例外ケースとして長く私の記憶にとどまりそうな気がします。
本作がわたしにとって良い作品となりえなかった一番大きな理由は、曾根崎が代理母出産に手を染めるに至った経緯が納得出来なかったからです。正確に言えば納得できないというのもちょっと違っていて、医師・研究者として倫理的に許されないものに手を染めるその理由が患者が望んでそうしたというのではなく、自分の欲求を満たすためであるというところに何となく受け入れにくいなと感じたのです。
本来であれば、そういう部分にリアリティがあると感じられたら一番よいと思いますが、どうしてもわたしにはそうは思えなかったんですよね。例えば、仮に探究心とか名声欲だと言われたらそれに対する是非を考えたり述べたりできるのですが、純粋に子どもを欲しいと思う女性の気持ちを突きつけられると、わたしは一人の男としてそれに対して何かしらのコメントを述べることさえ躊躇してしまうのです。
躊躇するというか、もうコメントすることさえ許されないことじゃないかという気持ちがわいてくるんですよね。
ただ産科医療のおかれている現実に対する問題提起としてはとても大事な作品だと思いますので、その点は強く支持したいです。
あとひとつ言っておきたいのは、浅丘ルリ子が一人でこの作品をホラー映画に仕立て上げようとしていたんじゃないか疑惑についてです。
写真に写れば心霊写真のごとし、診療所に立てば地縛霊のごとしと、彼女のあまりに白く塗り上げられたそのお顔はありとあらゆるシーンで観るものの先天的な恐怖心を煽りたてる始末。冗談抜きで怖いよ。。。。
何であのメイクにしちゃったんだろう...と今でも不思議でなりません。
あの人が出なければ傑作になるのか?と問われたら絶対にそんなことはないのですが、でもあの異様さがないだけでもずいぶんと作品に対する印象が変わるのになあとは思います。
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