「ラスト・ソルジャー」見たよ


戦国時代の中国。激しい戦いをずる賢く生き延びた“梁”の歩兵(ジャッキー・チェン)は、両軍ともに全滅した戦場で、敵国“衛”の傷を負った若き将軍(ワン・リーホン)を捕らえた。報酬がもらえると踏んだ歩兵は、将軍を捕虜として連れ帰ることにする。しかし、そんな歩兵の行く手を様々な障害が阻む。その中でも最大の敵は“衛”の捜索隊だった。彼らの狙いはなんと、将軍の救出ではなく暗殺。歩兵は無事将軍を“梁”へ連れ帰ることができるのか?

『ラスト・ソルジャー』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


戦国時代を舞台にした作品ということでしたので、武器を片手にかっこよく戦うジャッキーが観られるんじゃないかと期待していったのですが、昨年公開されて話題になった新宿インシデントと同じくカンフーをほぼ封印して撮られた作品でした。
先日観たばかりの「Spy Next Door」や「ベストキッド」(こっちはちょっとだけでしたが)では強いジャッキー・すごいジャッキーの姿を見せてただけに少々意外に感じたのですが、でも作品としてはとても面白かったです。
アクションは控えめでありながらも魅せるところはきっちりと楽しませてくれるサービス精神はさすがでしてたし、あの予想もしていなかったラストの展開にはとても驚かされました。


日々いろんな映画を観たり本を読んだりしてわかってきたのは、わたしは「気の合わない人同士が打ち解けあう話」が好きだということです。そしてそのシチュエーションでよく出てくるのが、長い時間一緒に過ごしてお互いのことを知っていくうちに自然と仲を深めていくという展開であり、大抵この手の流れになるとわたしは作品の世界に吸い込まれるようにのめり込んでしまうのです。
恩田陸さんの「夜のピクニック」「まひるの月を追いかけて」や瀬尾まいこさんの「天国はまだ遠く」「図書館の神様」、そして映画だと「スタンド・バイ・ミー」や「レインマン」など、一緒にいる時間が相手との関係を変えてくれる作品の多くは、わたしにとってすばらしい傑作として心に刻まれています。
本作は、最初は敵対関係にある国の出身同士ということで常に命を狙いあう仲だった二人が一緒にいるうちに互いのよさを認め合い、命を助けあうほどの仲になっていくのですが、この流れがまたすごく自然でいいんですよね。
戦争という異常事態において戦う相手を自分と同じ人間だと理解することはとても難しいと思うし、そもそも相手を対等な立場の人間だと思わないようにしなければその相手を殺すなんてことは到底出来ないわけですが、そんなふうに思っていた相手とでも時間をかけて付き合っていけばこんなふうに打ち解けあえるんだという表現は、何だか観ていて心が温かくなります。


こんなのはきれいごとだとか作られた美談みたいで面白くないという人もいたし、それはたしかにそのとおりかも知れませんが、でもこんな信じがたい物語だからこそわたしはこの話のような出来事があったとあえて信じたいと思うし、すごく美しいと思うんですよね。


「どんな相手でもいつか分かり合える」なんてことは思ってませんが、でも「どんなに分かり合えなそうな人でももしかしたらいつか分かり合えるかも知れない」という希望を持つことがすごく素敵だと思います。ジャッキーも相手の人もすごくよかったです。


ひとつ気になっているというかすごく記憶に残っているのは、ジャッキーが眠り薬を飲まされた時に見た夢の中で勢いに任せて争っているうちにワン・リーホンを殺してしまうというシーンがあったのですが、それをみたときの違和感というかザワザワした気持ちがすごく気持ち悪い感触を心に残しています。
元々は敵対する間柄同士なので、本意ではないとは言え、殺されるよりは殺してしまうことの方が正しいことのはずですが、何だかものすごく後味の悪い過ちを犯してしまったような気持ちになったことがとても不思議でなりませんでした。
あれ、何だったんだろうな...。よくわからないのですがあの前後のシーンだけもう一回観てみたいです。


ちなみにこの間観た「桜田門外ノ変」の感想でも書きましたが、わたしは学生時代は歴史がとにかく嫌いでしたので世の多くの人が知っていて当然のような一般常識でも知らないことがたくさんあります。社会科の授業ってとにかく暗記することが多くて苦手だなといつも思っていたのですが、こういった映画で学べば楽しく歴史を知ることが出来るわけで、いまさらながら歴史について勉強してみたいと思う今日この頃です。


(関連リンク)

公式サイトはこちら