「きつねのはなし」読んだよ

きつねのはなし (新潮文庫)

きつねのはなし (新潮文庫)

細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。さらに次々起こる怪異の結末は――。熱狂的支持を得た『太陽の塔』から三年、前作とはひと味違った端整な筆致で紡がれ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。

http://www.shinchosha.co.jp/book/464502/

読書メーターで2009年上半期でもっとも読まれた作品に輝いた「夜は短し歩けよ乙女」ですが(参考リンク)、わたしもこの作品が大好きでして、読後すぐに再読してしまうほど気に入りました。
そんなわけで森見さんの他の作品を読んでみようとこの作品を手にとったのですが、もう全然雰囲気が違っててびっくりしてしまいました。まさかこんなに怖い作品だとは夢にも思ってもいませんでした...なんていうのはちょっとおおげさでして、本書の表紙からして既に怖い雰囲気が感じられていたのでそれなりに覚悟はしていましたが、そんな予想を超えるほど怖い作品でした。
読んでいる最中から足元から背中へジワジワと冷たいものが這い上がってくるような嫌な感じがあったのですが、読後もすっきりせずにざわざわとした気分が残りました。この不穏な感じがすごくよかったです。


というわけで「夜は...」と比べるとまったく方向性のちがう作品でしたが、京都を魅力的に描写しているという点は共通していました。
まあ魅力的と言っても、実際の京都らしさが感じられるとかではなく、古都として頭の中にイメージとして描かれる京都っぽさが感じられます。京都には高校の修学旅行で一度行ったきりなのですが、両作品共に読み終えると京都へ行ってみたくなる作品でした。


仕事が落ち着いたら京都行きたいな。


[追記]

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

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