ザ・バンク−堕ちた巨像−


世界の富裕層から莫大な資金が集まる、欧州一の巨大銀行「IBBC」。だが、その取引には、ある違法行為の疑惑があった…。ニューヨーク検事局のエレノア・ホイットマンナオミ・ワッツ)と共に捜査に乗り出した、インターポール捜査官のルイ・サリンジャークライヴ・オーウェン)。次々と消されていく証人や証拠に翻弄されながら、ベルリン、リヨン、ルクセンブルク、ミラノ、ニューヨーク、そしてイスタンブールへと、彼らの追跡は国境を越えていく。世界屈指のその銀行の資金は、いったいどこへ流れているのか? 核心に近づくたび断ち切られる、真相解明への糸口。彼らがそこで目にした、恐るべき巨大組織の陰謀とは――?

『ザ・バンク−堕ちた巨像−』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


この作品のような「一介の捜査官が巨大な組織の悪事を暴くためにに立ち向かう」というストーリー、つまり「個人が巨大悪に戦いを挑む」というモチーフはすごく好きです。日本人には判官びいきな人が多いと聞いたことがありますので、これはある種国民性のようなものかも知れません。また、作り手や観客の立場を考えれば、強者が弱者を蹂躙するのを観るよりも弱者が強者に立ち向かって倒すのを観る方がカタルシスを得られるのは自然ですし、その点このモチーフを好む人が多いというのは当然なのかも知れません。
そしてこの手の作品で一番大事なのは「巨大悪がどれだけ力をもっているのか」という点、つまり立ち向かおうとする個人とその組織の間にある圧倒的な戦力差を見せつけることであり、この部分において当作品の冒頭における表現の仕方はとても印象的だといえます。
主人公であるサリンジャーには一個人/一捜査官など何の問題もなく葬り去れるだけの力があることを見せつけつつ、さらには彼の所属する組織ですら半ば掌握されているという事実を突きつけることで絶望と戦力の違いを植えつけるのです。
このわずか10分ばかりのやりとりだけであっという間に作品に心を惹きつけられてしまいました。


その後の展開も、先が見えるようで見えないもどかしさもよかったし、終始ドキドキしながら楽しく鑑賞出来ました。


ちなみにこの作品の後半で、とある建物を丸々ひとつつぶしてしまうほど激しい撃ち合いをするシーンがあるのですが、その迫力にただただ圧倒されてしまうほどすばらしくよかったです。形あるもの、特に美しいものであればあるほど、それが徹底的に壊されるという行為にはゾクゾク快感をおぼえてしまいます。あのシーンはとても興奮しました。


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