「シャッター アイランド」見たよ


ボストン沖の孤島にそびえる犯罪者のための精神病院で、ひとりの女性が行方不明になった。そのミステリアスな謎に、ある米連邦捜査官とその相棒が迫る。嵐によって4日間も閉ざされていた病棟で起きた悲劇とは…? マーティン・スコセッシレオナルド・ディカプリオの4度目となるコラボレーション作。

『シャッター アイランド』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。
予告にしろ、上映直前の映像にしろ、「この作品は観る人をだますぞ」的なメッセージをあちこちで発し過ぎていたためにいったいどうなることやら心配でしたが、その不安は杞憂に終わったと感じるほどよくまとまった作品でした。意外性を意識し過ぎて過度にぶっ飛んでいるわけでもなく、かと言って驚くほどのことでもないと言えるほど小さくまとまっているわけでもなく、観るものの期待に十分応えてくれたのは非常にうれしかったです。
こういう作品って大体にして期待はずれに終わることが多いというか、そもそも観る前から煽り過ぎてみる人のハードルをあげすぎて自滅することが多いですし、この作品も扇動の仕方だけは超一品でしたので逆に期待出来ないような気がしていたのですが、もう細かいことは忘れて楽しめました。


内容にふれるのが難しい作品なのであまりいろいろと書けませんが、観終わったときにはなるほどおもしろかったととても気持ちよく観終われる作品です。予告を観て気になった人には特におすすめです。
唯一残念だったのはこの手のどんでん返し系作品のお決まりである「オチを知った上で二回目を観たい」という気分にならなかったことです。超日本語訳が話題になっていたのでおもしろかったら二回目はそっちを観たかったのですが、たぶん観ることはなさそうです。


以下、ネタバレ混みの感想です。未見の方はなるべく読まないでください。




この作品が表現していたのは、「あなたの見ているその世界は本当に存在するの?」ということでした。


ある島にある病院の一室から突如女性が消えてしまったのでそれを捜査しに来た連邦捜査官、という位置づけだったはずのディカプリオですが、実は彼もまたこの病院の患者だったというのがこの作品のサプライズポイントです。彼は家族の起こしたある事件をきっかけに現実の世界ではなく空想の世界に生きるようになってしまい、この病院で治療を受けていたのです。ところが投薬等では一向に改善される様子の無い彼の治療のために、一度彼の妄想の世界と現実を一致させてみればおのずと現実と妄想の矛盾に気付いて現実の世界に戻ってくるんじゃないかということでディカプリオを連邦捜査官に仕立ててみたところから物語が始まるというのが話の流れとなります。
そうやって振り返ってみると、なるほどと思える点やシーンがいくつも出てきます。
例えば島に上陸した直後の人々の視線の冷たさや、女性の捜索を誰もがやる気がなくやっているところ、そして視点が変わるごとに微妙に異なって見える映像の不思議さなどはラストまで見たところで、一気に腑に落ちたのでした。


ちなみにネットで感想を読んでみると、最初からわかってました的なことを書いている人が多くて驚いたのですが、そういう人に限って夢オチだとか書いてあるんですよね。そうではなくて、この話は夢でもなければ妄想でもない。どんなことでも脳がそうだと思えばそう見えるし、そう感じてしまう脳の不思議さが大事なのであって、夢だとか妄想で片付けてしまってはすべて台無しだと思うのです。


「人は見たものを見る」のではなく「見たいものを見る」のだというのはよく言われることですが、それがとてもよく表現された作品でした。ただ、出来れば予告や直前の映像は極力情報を抑えてくれた方がより一層そう思えたんじゃないかという気がしています。


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