- 作者: 瀬尾まいこ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/30
- メディア: 文庫
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仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。
http://www.amazon.jp/dp/4101297711
この作品を原作とした映画が昨年11月から公開されていたのですが、まったく観るあてがなくなってしまったので諦めて原作を読むことにしました。思い返してみると、加藤ローサの出ている映画はどれも興味をもつのですが*1どれも映画館で観たためしがありません。ミニシアター系作品を上映している映画館が近くにないというのも理由のひとつですが、変な予定が入ったりしてタイミングが合わないというのもよくあることで、何となく縁のない人だなと言う印象を最近はもっています。
話が本からそれてしまいました。
本書は全体的なイメージは地味ですがものすごくいい作品でした。ストーリーに抑揚があるわけでもなく、ただ田舎で毎日を過ごすというそれだけの話なのですが読んでいるだけで千鶴と一緒に気持ちが癒されました。
瀬尾さんの本を読んでとてもいいなと思うのは、瀬尾さんの著書はどのページを開いても瀬尾さんの作品らしさというか匂いが感じられるところです。視点は常に一人におかれていて、その人がどのように考えてどのように行動するのかという「思考/行動」のひとつひとつを逐一追体験しているようなリアリティに満たされています。瀬尾さんの著書はどれを読んでも出てくる人と一緒に悩み、喜び、そして最後には生きることに対して肯定的な答えをみつけられる作品ばかりであり、生きることに前向きになれない時にはいつも瀬尾さんの本が読みたくなります。
[追記]
もうひとつ、感想を書いてみました。