K-20 怪人二十面相・伝


舞台は架空都市<帝都>。19世紀から続く華族制度により、極端な格差社会が生まれ、帝都の富の9割がごく一部の特権階級“華族”に集中していた。そんな中、富裕層のみをターゲットとし、次々と美術品や骨董品を魔法のような手口で盗んでしまう<怪人二十面相>通称“K-20”が出現し、世間を騒がせていた。サーカスの曲芸師・遠藤平吉(金城武)はある日、サーカスを見に来ていた紳士から、羽柴財閥の令嬢・羽柴葉子(松たか子)と名探偵・明智小五郎仲村トオル)の結納の儀に潜入し、写真を撮ってきてほしいとの依頼を受ける。報酬につられ了解した平吉だが、それは二十面相の罠だった――。『ALWAYS 三丁目の夕日』のスタッフが贈る、かつてないアクション・エンターテイメント。

『K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。金城武最新出演作。
第二次世界大戦がなかった仮想世界を舞台に怪人20面相が暴れまわる世界を描いた作品。
「ALWAYS...」のスタッフが手がけたというだけあって、情緒あふれる街並みや古くて新しい風景はとても見事でした。また、わたしが大好きな金城武も大活躍でしたのでその点はとても満足のいく出来だったと感じています。やっぱり金城はこういう朴とつな人柄の役が似合うし、観ているだけで癒されます。彼のよいところがとてもよく引き出されていて、彼のファンとしてはとても満足出来ました。


ところで、わたしは鑑賞している時にひとつだけ大きな勘違いをしていました。
というのも、鑑賞前に登場人物の一覧をざっと眺めてみた限りでは江戸川乱歩の作品をベースにしてシナリオを作って映画化したものかと思っていました。ですので、江戸川乱歩作品が大好きでかなり読み漁ったファンとしては、登場人物に対する違和感は大きく、とても理解しがたかったのです。例えば明智がそれとなくアホだとか、小林君が地味に嫌味な感じだとか、二十面相が結構普通の泥棒っぽいとかはちょっとなじめませんでした。
ところがあとで確認してみたらこれは乱歩作品から直接派生させた作品ではなく、乱歩作品の二次創作小説を映像化したものらしいのです。観ているときは原作レイプだと思っていたのですが、その点は誤解だったようです。反省反省。


とは言え、この作品のよいところは冒頭で書いたところだけでして、あとはなかなか厳しかったです。
上記のとおり、誤解していた部分もあるにはあったのですがその勘違いを差し引いても厳しい評価をせざるを得ません。個々のシーンというよりも全体としてみたときのアンバランス感に非常に違和感を覚え、観終えたときに一体この作品は何だったのだと思わずにはいられませんでした。ラストシーンでの出来事に脱力させられたというのもあるかも知れませんが、金城武好きじゃなかったらそもそも2時間半も座っていられなかったと思います。


それにしても今年の仲村トオルは本当に引きが悪かったとしか言いようがありません。
思えば「少林少女」という今年もっとも期待値と実態の乖離が激しかった作品に中心人物として出演したというそれだけでもかなり運が悪いと言えるのに、加えてこの作品にも中核人物として出てしまっているというのはその引きの悪さをあらわす最たる証拠です。来年こそはよい作品にも出てほしいなと思ってしまいます。


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