悪夢探偵2


「夜な夜な見る悪夢を取り除いてほしい」。そう言って「悪夢探偵」こと影沼京一(松田龍平)の元にやって来た、女子高生の雪絵。話によれば、毎晩彼女の夢にはなぜか同級生の菊川が現れては「怖い、怖い」とずっと震えていると言う。その菊川は実際にも異常なほどの怖がりでクラスでも浮いた存在、今は家に引きこもって登校拒否をしている。京一は雪絵の話を聞き、かつて「怖い、怖い」と全てのことに恐れ、幼少時に自殺してしまった自分の母親と菊川の間に共通点を見出し、彼女と接触を図るのだが、そこには思わぬ悲劇が待ち受けていた…。主演の松田龍平塚本晋也監督が贈るスリラー・サスペンス『悪夢探偵』シリーズ第2弾。

『悪夢探偵2』作品情報 | cinemacafe.net

シネセゾン渋谷にて。2年近く前に公開された「悪夢探偵」の続編。
続編とは言っても前作とのつながりは一切ありません。前作から引き継がれているのは他人の夢の中に入ることが出来る影沼という存在だけであり、つまり前作をまったく知らずとも楽しめる作品になっています。
日常的に恐怖におびえる菊川という存在をとおして自身の過去と決着をつけるというストーリーもおもしろかったし、映像の気持ち悪さにも拍車がかかっていてとてもよかったです。


この作品を観ていて、心の声が聞こえるというのは本当にシンドイことなのだなと改めて実感しました。
先日、偶然「七瀬ふたたび」を読んだばかりなのですが、その感想の中で他人の心の声は聞きたくないということを書きました。

だって目の前で笑いながら話している人が、実は「こいつの相手するのめんどくさいし早く帰りたいな」とか「鼻毛出てるけど教えないでおこう」とか考えていると知ったら何だかんだ落ち込むでしょうし、そんなことに慣れて落ち込まなくなったとしても結局他人の事を一生好きにはなれないような気がします。

七瀬ふたたび - 子持ちししゃもといっしょ


この感想のように好きだとか嫌いだとかという程度で済めばまだよいのですが、この作品(悪夢探偵2)の中で描かれているように相手の本心が常に聞こえてしまうということがかなり心を蝕むことは容易に想像できます。徐々に心を蝕まれていく様子や、気持ちのやり場や逃げ場のない閉塞感の描写がすさまじくリアルで終始やり切れない気分になってしまいました。


やる気というか生命力を感じない役をやらせた時の松田龍平のよさと、相手の考えていることなんて聞こえなくてもいいやという考えを再確認した作品でした。


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