BUG


アメリカ郊外・オクラホマ。息子を失い心に傷を負ったアグネス(アシュレイ・ジャッド)は、最近仮釈放された元夫の暴力から逃れるため、一人モーテルに身を潜めていた。そんなある日、同じく辛い過去を背負う男性、ピーターと出会い心を通わせ始めるが、部屋の中に小さな“バグ(虫)”が存在することに気づく。閉ざされた空間の中で、次第に彼らの精神は壊れ始めていく…。『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン監督が、妄想が暴走した果ての狂気の世界を描く衝撃作。

『BUG/バグ』作品情報 | cinemacafe.net

シアターN渋谷にて。
ホラー映画を観るつもりでこの作品を選んだのですが、予想外に精神病者の脳内ワールドを味わえる狂気全開の作品だったためにかなりの精神的ダメージを受けました。あまりに堪える内容に、観終わったときには灰のように燃え尽きてしまいました。もっと普通のホラーだと思ってたのに...。


仕事上、バグと聞いて思い出すのは虫よりもプログラムの方なのですが、きっとこの作品で表現したかったバグは虫でもありプログラムのバグでもあったのだと思います。閉鎖的な空間にこもった二人に徐々に見え始めたちいさな虫のすがたは虫でもあり、精神に巣くうバグでもあったわけです。たった一行のコードミスがプログラムを異常終了させてしまうように、虫が見えるようになるという精神疾患がふたりの人生を終わらせてしまったのです。
多少の怪我や傷では死なない人間の強さと、虫が見えるようになっただけで思考が崩壊してしまい自傷してしまう人間の弱さ。その対称性がひじょうにおもしろいなと感じました。


あとは家の中が徐々に虫対策で変貌を遂げるあたりは、二人の精神の崩壊状況を表現しているようでとても興味深かったです。


なんて、おもしろいと書いていますが、観ている時はそんなことを感じる余裕が一切無かったというのもまた事実です。。。
本当に衝撃的な作品でした。今年一番のキチガイ映画に認定します。


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