狩りの途中で偶然、大量のヘロインと200万ドルという大金を見つけた、ベトナム帰還兵のモス(ジョシュ・ブローリン)。金を持ち去った瞬間、彼の運命の歯車が大きく狂い始める――。法と正義を信じる年配の保安官・べル(トミー・リー・ジョーンズ)や警察を巻き込みながら、執拗に追ってくる謎の殺し屋・シガー(ハビエル・バルデム)から逃げるモス。果たしてモスは逃げ切ることができるのか? ベルは危険に瀕したモスを救うことができるのか? そしてシガーはモスを射止めることができるのか? 3人の男の思惑と自信が絡み合い、意外なクライマックスを迎えることとなる…。アメリカ西部、テキサスの町を舞台に、鬼才・コーエン兄弟が放つ、ドラマティックな犯罪スリラー。
『ノーカントリー』作品情報 | cinemacafe.net
MOVIX宇都宮にて。
殺し屋が追ってくる怖い映画!!...と思ってましたが、ただそれだけの作品ではなく、殺し屋のシガーの魅力に惹きつけられっぱなしの2時間でした。観た印象としては賛否がはっきりと分かれそうな作品ですが、私は非常に面白い作品だと思いました。観れてよかったです。
どこに逃げても追ってくるシガーは、そのたたずまいを観ているだけで身震いがしてきます。とにかく全力で逃げ、もうここはばれないだろう...と思っているそのすぐ背後に立っているような、そんな逃げ切れない絶望のようなものを感じさせるのです。
ただそういったストレートにこわいと感じる部分とは別に、相手を殺す/殺さないという判断については何か自分なりの哲学があるみたいで、その不可解さもまた、シガーに対して感じる恐怖心の一因になっています。顔を見られたら殺すというポリシーを持っているようですが、全部が全部そういうわけでもないのです。その「なにか」が今も分からないですし、そして今もその「なにか」が気になって頭の片隅から離れる事はありません。
そんなシガーに対して畏怖の念を抱かずにはいられませんでした。
そしてストーリーとして面白いと思ったのはシガーとモスの決着の付け方。ネタばれになってしまうので書きませんが、あそこまであのように展開していてまさかあのように決着*1させるとは予想外でした。予想外過ぎて思わず声に出して「え?」と言ってしまったほどですが、見終わった今であればその意図するところが何となくわかるような気がします。
ま、気がするだけですが。
私がこの作品から得た教訓は大きく2つ。
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- 大金が落ちているのを見つけても、拾って自分のものにしてはいけない
- キレイな女性に誘われてもついて行ってはいけない
つまりは長生きしたければ慎ましく生きろということかな。
私は慎ましく生きようと思います。
公式サイトはこちら
[追記]
シガー役のハビエル・バルデムのインタビューを見つけました。
役と違い、あまりに爽やかだったのでびっくりしました。
Q:本当は暴力的な映画が苦手なのだそうですね。どんな映画がお好きですか?
退屈だと思われるかもしれないけれど、2人の人間がただ会話を交わしているような静かな映画が好きだ。2人の関係がどう発展するのか、観ている間に考えられるような映画がいいね。テンポの速いミュージックビデオのような映画は好きじゃない。
『ノーカントリー』ハビエル・バルデム 単独インタビュー - シネマトゥデイ
こんなに役を演じきっているのに実は苦手とは...。
*1:「あの」とか「あそこ」とか指示代名詞ばかりですいません