未来を予測する技術

未来を予測する技術 (ソフトバンク新書 46)

未来を予測する技術 (ソフトバンク新書 46)


ドラえもんの道具で何が欲しいと言われたら、タイムマシンでもどこでもドアでもなく、「もしもボックス」が欲しいとお願いします。*1
好きな場所に行ったり時間を超えた旅行をしてみたりというのも非常に魅力的なのですが、でもそれより何より私が見てみたいと願うような(妄想する)非現実的な世界が見てみたいなと思うのです。


さて。
本書ではシミュレーション技術・コンピュータの処理能力の発展により、シミュレーションをする事で未来が予測出来るようになるんじゃないかという事を前向きに述べています。そしてこの本を読みながら、このシミュレーションこそ、私が欲しがっている「もしもボックス」になり得るんじゃないかと一人で興奮してしまいました。*2


例えば。
この世界をシミュレート出来るプログラムが出来たとしたら、それに対してどうパラメータを割り振るかというのは実行者の自由なわけでして、言うなれば、自らの手でこの作られた世界を望む形に変えて楽しむ事が出来るわけです。
まさに「もしもボックス」で新しい世界を創り上げるような、そんなことが出来るようになるわけです。


なんて言うちょっと夢見がちな視点と共に、いくらコンピュータの性能が上がってもこの世界すべてをあるがままにシミュレート出来るコンピュータは出来ないという現実的な始点や、ミクロとマクロの視点を組み合わせていかに少ない計算量で対象を計算するのかと言う工夫も説明されており、シミュレーションを行う苦労や面白さがストレートに伝わってきました。


学生時代に簡単なシミュレーションプログラムを作って論文のネタにしてたことがあるのですが、その時にこの本と出会えていたらなと思える一冊でした。


ちなみに「もしもボックス」があったとしたら、私が世界一モテモテの世界にしてみたいです。

*1:もしもボックス」は「もしも〜だったら...」と言うだけで、今居るこの世界を自らの望む世界に変える事が出来る道具です

*2:シミュレーションは、現実には出来ない事を試してみることに意義があるわけですから、未来を見るための技術としてはこれ以上のものはないわけです。