地球が静止する日


ある任務を遂行するために地球に降り立った宇宙からの使者・クラトゥ(キアヌ・リーブス)。政府や科学者たちが、謎だらけの彼の存在とその真意を解き明かそうと奔走する中、ヘレン(ジェニファー・コネリー)と幼い義理の息子は、彼のミッションに巻き込まれていく。そして2人は、地球史上最大の危機が、いままさに訪れようとしていることに気づく…。人類と異星人の出会いと、それに対する人類の動向をシミュレーション風に展開させた本格SF映画の先駆的作品『地球の静止する日』('51)のリメイク。

『地球が静止する日』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。57年前の同名作品*1のリメイク作品。
リメイク元は観たことがなくそもそも存在すら知らなかったのですが、宇宙から異星人がやってくるというテーマそのものはたしかに目新しさはないものの、CGを使いまくった迫力ある映像や圧倒的な力の前に屈する人類の無力さの描き方がとてもおもしろくて最後まで一度も目が離せませんでした。予告映像はあまり面白そうじゃなかったので過度に期待をしていなかったのがよかったのかも知れません。WANTEDに続く予告 < 本編という作品でした。
すごくよかったです。

このままでは地球は死ぬし、その地球の死は人間の死である
ただし人間が死ねば、地球は生き延びることが出来る

これはクラトゥからヘレンへ突きつけられた言葉のおおよその概要なのですが、論理的にこの言葉を解釈すれば人間は死ぬべきだという結論にたどりつきます。共倒れになるよりは一方が残るほうが望ましいわけですから、人類は死ぬべきですしそれ以外の結論というのは絶対にありえないのです。ところが生物というのは面白いもので、たとえ自身が死ぬべきだというのが正しい結論だとは知っていても「じゃあ死にます」とはかんたんに言えないわけで、生への執着というか性というかそれはおもしろいもんだな感心してしまいます。
もちろん、わたしだって「地球の存続のために死にます!!」と勢いよく言えるわけもなくほかの誰かが何とかしてくれるのを待つような小さな人間ですし、100歩譲ったとしても「人類が全部死ぬんであればそ俺も死んでもいいよ...」くらいの強がりはもしかしたら言えるのかも知れませんが、とは言ってもまあその程度なわけです。


クラトゥがこのあたりの人間の傲慢さや横暴さ、おろかさを知った上で、でもそんな一面以外だけではなくていいところもあるし、人間は変われるのだということを認めていく流れにグっときました。そんなクラトゥとのやりとりや圧倒的な力によって世界が壊されていく映像がとても印象的な作品でした。



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*1:邦題はちょっと違うけど