となりのクレーマー

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)

著者の関根さんは西武百貨店で長年お客様相談室に携わっていた方だそうです。実際に対応したクレームをケーススタディとして、どのような対応をすべきなのかを分かりやすくまとめています。もちろん、これを読んだからと言ってクレーム対応が出来るわけではないのですが、

    1. どのような手口で要求を通そうとしてくるのか
    2. それに対してどのような対処が有効なのか


といった普段知る事が出来ない話を聞く事が出来るのはとても貴重です。
読んでるだけで気が滅入るくらい、いろんなクレーマーがいるものだとうんざりします。ホント、こういう気の違ったような人たちと日々接するお客様相談室ってのは本当に大変だし、どちらかと言うと会社のお荷物的な扱いを受けてる人が配属されるようなイメージがあったけど(無知過ぎでした)、全然そんなことは無いですね。企業を守る意味でも、顧客を守る意味でも無能な人には勤まらない役目なのだと認識を改めました。


でもやはりクレーム処理なんてやりたくないと私などは思うのですが、著者はとても面白い仕事だと断言しています。

 しかし、私は、これほど面白い職業もないと思います。人が怒り文句を言うさまは、なかなかまともに見ることができないわけで、その対応のために、その場で立ち会うのであるから、リアリティがあり、言葉はおかしいですが「楽しい」とすら感じられます。

怒りという感情を、時には真正面から受け止めたりいなすという技能が魅力的に見えてしょうがありません。
普段、技術的な技能を身につけたいという意識は常に持っていますが、このような対人的な専門技能にこれほど強く憧れた事がありません。口がうまいとかコミュニケーション能力が高いっていう程度であれば、「あればいいなぁ」くらいの憧れですが、これはすごいなと。


短く分割されているので読み易いです。量的には物足りませんが内容には大満足です。