あるいは裏切りという名の犬

そもそも「善き人のためのソナタ」を見るつもりで行ったのですが同じ映画館で来週から公開される予定でした。一週間間違ってしまったよ...。チケットを買う時まで気付かないのもどうかと思いますが、結果面白かったので良しとします。普段、邦画ばかり見てるから欧米人の顔を見分けられないんですよね...。

1980年代のフランス、パリ。パリ警視庁はシテ島オルフェーヴル河岸36番地にある。長官が近々引退するので、部下からの人望厚い正義感溢れる二人の警視が長官候補として挙がっていた。かつて親友同士だった二人は同じ女性を愛し、微妙な関係となっていた。折りしも、パリに現金輸送車強奪事件が起こる。二人の確執がもとで、引退間近の刑事エディを殉職させてしまう。哀しみにくれるパリ警視庁、エディの葬儀は厳粛に行われた。そして、二人の確執は更なる悲劇へと向かっていく・・・。

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=6987

宇都宮テアトルにて。
人生なんて些細なつまづきから大きく道を逸れてしまうことって本当にあるんだよなあと思わずには居られない作品でした。たった一人の嫉妬によって、多くの大事な人が亡くなった上に服役までさせられ、挙句その服役中に妻までも殺されてしまうという言葉にならないくらいの転落ぶりも単なる作り話だと一笑に付すことは出来ません。
# ちなみにこの話は実話が元になっているそうです


権力に執着する同僚に大事な人たちを奪われていくあたりの右肩下がりの凋落っぷりに落ち込み、最後ティティの一言がきっかけで命を救われるところで大いに盛り上がるという終盤僅かに救われる展開がいい。このさじ加減(過剰に盛り上がらないところ)が絶妙過ぎて素晴らしいのです。


終わってみて一番好きだと感じたシーンは出所後に娘と再会して家まで送り届けるところ。
「この物語はまだ終わっていないから結末をつけてくる」というヴリンクスへ「一人にしないで」という娘からの一言はまさに殺し文句。大事な妻を殺されたとはいえ、一度は一人きりにしてしまった娘に7年前と同じこの言葉で引き止められたら決意も揺るいでしまいそうです。俺だったら間違いなく揺らぐなあ...。そんな娘の言葉に動じず(動じたから殺さなかったのかは分かりませんが)自分なりに決着をつける姿には心底惚れてしまいます。


初のフランス映画でしたが、ストーリーやキャストの濃厚さにメロメロの今井メロでした。非常に面白かったです。

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