「さようなら、私」読んだ

さようなら、私 (幻冬舎文庫)

さようなら、私 (幻冬舎文庫)

中学時代の同級生が自殺した。お別れ会のために帰郷した私は、七年振りに初恋の相手ナルヤに再会する。昔と変わらぬ笑顔を向けてくれる彼だったが、私は不倫の恋を経験し、夢に破れ仕事も辞めてしまっていた。そんな私をナルヤが旅に誘い…。会社が嫌い、母親が嫌い、故郷が嫌い。でも、こんな自分が一番嫌いだった。だから私は旅に出ることにした。

http://www.amazon.co.jp/dp/4344419731

3作の短編集でしたが、いずれも人生が変わる様子をていねいに描いた作品でしてとてもおもしろかったです。


今までの人生を振り返ってみると「あそこが人生の転機だったな」と思うようなときがいくつかあります。

他人に嫌われるのが怖くて思ったことを言えなかった私が勇気を振り絞って自分の意見を言えたときや落ちる落ちると言われてたのに大学に合格したとき、映画なんて両手で数えるほどしか観に行ったことがなかったのに何となく「ゲド戦記」を観に行ったとき((この映画鑑賞がきっかけで映画館で映画を観ることにハマってしまった)やダイエットしたいという軽い気持ちで走り始めた日などちょっと考えただけでも数々の人生の節目を思い出すことができます。

当たり前のことなんですが、この人生の転機となった日は振り返ってみればたしかに特別な日なのですがその日を過ごしていたときはまさかこの日が転機になるなんて思ってもいません。それまでの、そしてそれから過ごすであろう1日と何も変わらない普通の日を過ごしているつもりなのに、実はすごい特別な日だったということを後から知るわけです。

そんなふうに考えていると、実は今日という日も未来から振り返ってみたら特別な日だったりするのかなと妄想することもありまして、なんだか毎日がとても楽しくなるし、できれば今日という日がそういう1日になってほしくてあれこれ普段はやらないことにも挑戦してみようと思えます。


本作はあとから振り返ったときに「あの日が転機だったな」と思えるような日、もしくは出来事を描いた作品でして、「明日は未来の自分にとって特別な1日にしたいな」と思える作品でした。