「心に残る映画」/わたしを映画好きにした作品「虹の女神」


今週のお題は「心に残る映画」。


正直に言うと、心に残る映画と言われたらあれもこれもとたくさん思い浮かんでしまいます。
映画館に通うようになり始めてから今年で5年目になりますが、この5年間映画館で観た作品は600本を超え、その本数に比例するように大好きな作品もどんどん増えてきました。いまさらベスト作品なんて決めようがないくらいです。
「JUNO」と「(500)日のサマー」と「チョコレート・ファイター」のどれが好きって言われても「全部好き!!」としか言えないし、あえて選べと問うことは「あたしと仕事どっちが大事なの?」的な回答不可能な質問をぶつけることと何ら変わりないくらい答えようのない質問なのです。
もう、自分でも何書いてんのかさっぱりわかんないんですけど、とにかく決めらんないよと。
どれもその当時の思い入れたっぷりの作品です。


そんな中にあって、唯一特別な作品が「虹の女神」という作品。

虹の女神 Rainbow Song [DVD]

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これはもうあちこちで機会があるごとに話しているので、周囲の人にとっては「また言ってるよw」と言われること間違いないくらい言い続けていることなのですが、今回改めてエントリーに起こしておきたいと思います。


今から5年くらい前。わたしは映画を観るという行為に対してものすごく苦手意識を持っていました。
二時間一つの場所に座って画面を見続けるなんてのはとても耐えられないことだと感じていたのと、外国映画だと字幕を読むのが面倒だったし、元々私はものすごく注意力散漫なのでいろいろと見逃してしまうことが多いのですが、そんなシーンがあっても気軽に巻き戻しが出来ないこともとてももどかしいことだと思っていました。
つまり映画に対して超否定的な印象を抱いていました。
だから生まれてからの27年間で映画館に行ったのは両手で足りるくらいの回数しかなく、平均してしまうと3年に1回も行かないくらいしか行ったことがなかったのです。


そんなわたしが初めて一人で映画館に足を運んだのは「サイレントヒル」という有名ゲームが原作の映画と、「ゲド戦記」を観た時でした。
私以外の家族全員が帰省で不在だったので、何となく普段やらないことをやろうと思って映画館に行ってみたのですが、これが意外に楽しくて*1、それをきっかけに月に1回くらい映画を観るようになったのです。
当時何を観ていたのか調べてみると、一部で超不評だったらしい「UDON」や、当時は超絶キュートだった沢尻さんがモテない男を散々振り回して捨てるという身もふたもない「シュガー&スパイス」、同名の歌の歌詞を映画化したという地雷の見本のような「涙そうそう」という、そうそうたる映画を観ていたようです。地雷を避けるどころか地雷の上を渡っているところが今となっては微笑ましい限りです。


そんな作品を観てもさすがに映画そのものにはまるわけもなくて月に一本の鑑賞ペースは変わらなかったのですが、そんなある日「虹の女神」という作品の予告を観てものすごく惹かれたのです。



昔から懐古主義なところのある私は高校・大学を舞台にした作品が大好きなのですが、この予告はもうものすごくビビッときちゃったんですよね。淡い青っぽい色と虹。
当時はそれほど映画をたくさん観ていたわけではないのでうまく言えないのですが、この予告に一目ぼれしちゃったことだけは確かです。
予告映像は魅力的に作られているというのは分かるのですが、それでも初めて「虹の女神」の予告を観た時以上に一目ぼれした作品というのはいまだかつてありません。


そんなわけで公開直後に映画館へと観に行ったわけですが、もう一度観てはまってしまいました。
予告で感じたとおり、映像そのものの素晴らしさも感じられたし、上野樹里演じるあおいの不器用さとかストーリーのいたたまれなさみたいもの全部が、わたしの中にあった「こういう作品が観たい」という欲求にしっくりと収まりきってしまったんですよね。わたしのwantsに100%マッチしちゃったんです。
その後もう2回同じ映画館でこの作品を観て、さらに半年後に新文芸坐で再上映された時にも観に行ったんですよね。
そして今も月に一度くらいはDVDを流してぼーっと眺めたりしています。
いろいろと嫌なことや辛いことが重なった時にも、大好きなこの作品を観るだけで自分の中にある欠けてしまった部分がうまく補完できて少し楽になるような気もするんですよね。本当に大事な作品です。


そして「虹の女神」を観て以来、私の中に映画をもっと観たいという気持ちが根付きました。
世の中にはこんなに面白い作品があるということを知ってしまった以上、わたしは映画を観ることを止められないなと思うし、逆にもしこの作品をあのタイミングで観ていなければわたしはこれほど映画を観ようとは思わなかったかも知れません。過去をifで語るつもりはありませんが、でも今の自分の生活から映画を取り除いてみると、この作品との出会いがわたしの人生にとってどれだけ大きなインパクトを与えたのかを知ることが出来ます。


人生のどこでその作品と出会うのか?というのって、映画好き/嫌いになる大きなファクターだと思いますし、運よくすばらしい作品に出会って映画が好きになれたわたしはとても運がいいと思います。

*1:映画が面白かったというのもありますし、映画を観る行為がすごく楽しかったというのもあります