「バケモノの子」見たよ


この世界には、人間の世界とは別に、もう1つの世界がある。バケモノの世界だ。人間界【渋谷】とバケモノ界【渋天街(じゅうてんがい)】。交わるはずのない2つの世界に生きる、ひとりぼっちの少年とひとりぼっちのバケモノ。ある日、少年はバケモノの世界に迷い込み、バケモノ・熊徹(くまてつ)の弟子となり、九太(きゅうた)という名前を授けられる。その偶然の出会いが、想像を超えた冒険の始まりだった――。

『バケモノの子』作品情報 | cinemacafe.net


予告を観てどんな話なのかさっぱり予想できないまま観に行ったのですが、魅力的な登場人物とわかりやすくシンプルに物語が組み立てられたよい作品でした。とくに登場人物は見た目にも声にも個性が感じられて個々のキャラクターが際立っている点に心底感心しました。

なかなかおもしろかったです。


両親が離婚して母親といっしょに暮らし始めたものの母親と死別してしまったことをきっかけにひとりで生きていくことを決意する九太*1。とは言え、9歳の子どもがひとりで生きていくのは容易ではなく、渋谷の街をフラフラしていたときにチコというちいさな生き物に遭遇します。

このチコは微妙に実在の動物っぽくないし結局最後までなんなのか説明がされないのですが、これって死別した母親が絡んでいるんじゃないかなと思ったんですがどうなんでしょうね。作中で何度か母親が出てくるシーンがあるのですが、その前後だけはチコが出てこないし、そもそも九太以外が誰もチコに気付かないのもすごく気になります。

チコが九太以外と絡んだのってラストバトルのところで楓にキャッチされたところだけじゃないでしょうか?パンフとかにそういう情報書いてたら読んで観たいです。


話を戻しますが、チコと出会ったあとは行く場所もなく駐輪所でうずくまっていた九太を人間界に来ていた熊徹が見つけ、声をかけたことをきっかけに九太は熊徹たちが住むバケモノの世界に足を踏み入れることになるというのが物語の序盤の流れです。


唯一の肉親と別れて人間の世界には居場所がなかった九太は、そこから8年ものあいだバケモノの世界での生活を続けてじょじょに熊徹たちと仲を深めていくのですが、ここのくだりは流れる時間の長さに比べるとかなり簡単に描かれていたものの観ていてとてもワクワクしました。

むかし、小さな子どもを見ているときに「ほんとうにこのちっこいやつが大人になるんだろうか?」なんて思ったことがあるのですが、その後ひさしぶりに会ったときにあまりに身長も顔も成長していてちょっとビビったことがあります(笑)

男子三日会わざれば刮目して見よなんて言葉もありますが、時間が経過することで老いて衰えていく大人とは対照的に、時間が経過すると子どもは成長していくわけですからどんどん両者のあいだにある差は埋められていくわけです。本作のこの一連のシーンはまさにそんな両者の力量差がどんどん埋められていく様子が描かれていて観ていて興奮しました。


で、17歳になった九太はちょっとしたきっかけで人間の世界へと戻ることになって...というところで話が大きく動き出すわけですが結末までの流れもすごく自然だったし次の展開が気になるくらいに物語はおもしろかったので最後まで楽しく鑑賞できました。


ここからは個人的にいくつか気になっているところがあるのですが、思いのたけを書いてすっきり消化したいというほどの熱意もないので割愛します。あまり細かいことは気にせずに作品の世界観と魅力あふれる個性的なキャラクターたちを存分に楽しんだ方がこの作品を満喫できると思います。


@MOVIX宇都宮で鑑賞

*1:実際は蓮という名前なんですがどちらなのか分かりにくくなるので九太で統一します