「ファーゴ」見たよ


ミネソタ州ミネアポリスに住むカー・ディーラーのジェリー・ランディガード(W・H・メイシー)は借金返済のために自分の妻ジーンを誘拐し、会社のオーナーでもある義父から身代金をいただこうと考えた。誘拐を実行するのは、前科者の従業員から紹介された妙な二人組、カール(S・ブシェミ)とグリムスラッド(P・ストーメア)。だがジーンを自宅から誘拐した二人は、隣町ブレイナードまで逃げたところで、停車を命じた警官と目撃者を射殺してしまう。ブレイナードの女性警察署長マージ・ガンダーソン(F・マクドーマンド)は事件を追ってミネアポリスに赴くが、その間にも狂い始めた誘拐計画は次々と犠牲者を産んでいく……。

映画 ファーゴ - allcinema


以前から観てみたいと思っていた作品ですが、偶然TOHOシネマズで上映しているのを見つけたので観てきました。


本作は、カーディーラーで営業部長として働く男性が義父からお金をだまし取るために妻の狂言誘拐を企てたことをきっかけに無関係な人たちをふくめ次々と人が死んでいくというなんともやりきれないお話。ちょっとだけお金をくすねてやろうという軽い気持ちで始めたはずが、少しずつ歯車が狂っていっていつの間にかおさまりがつかなくなってしまう怖さや、偶然犯行を目撃してしまったがゆえに理不尽に殺されてしまうことへの恐怖。

加害する側に立つのか被害者側に立つかはともかく、誰もがこういったおそろしい出来事とは無関係ではいられないというメッセージがこの作品からは感じられて観ていてたいへん気が滅入りました。軽い気持ちでやったことがとんでもない犯罪につながることもあるだろうし、普通に生きていても巻き込まれることだってあるだろうし、当たり前ですが何事もなく生きるということは難しいのだなと思い知らされます。


この作品にはとても個性的な人がたくさん出てきますが、わたしは一連の事件のきっかけを作ったジェリーのことが嫌いで嫌いでしょうがありませんでした。それなりの地位にありながらたった4万ドルも用意できない無能さや、狂言誘拐をしようと見知らぬ悪人に助力を得ようとする浅はかさ、少し先のことさえも考えられない先見性のなさ。

自分自身の無能さを自覚できない人間というのは、こんなふうに自分だけでなく身の回りの人も不幸にするという点では異常に罪深い存在だなということをしみじみ実感しました。


ちなみに、TOHOシネマズは午前十時の映画祭以外でもこういった旧作の上映をちょいちょいやっているようなのですが、作品のチョイスはどうやって決めてるんでしょうか。観たいなと思う作品をよくかけているし、ブルーレイ上映とは言え800円で観られるのはすごくうれしいです。

これからも観たい作品がかかったらできるだけ足を運びたいです。


@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞