TOHOシネマズの新しい鑑賞料金を利用して感じたこと

2011年4月5日からTOHOシネマズ宇都宮の鑑賞料金が大幅に変わりました。


具体的にはいままでは1800円が基本料金で、一部曜日/時間帯だけ1000円〜1300円という割引価格で観ることが出来ていたのですが、それが一律1200円(ネットでチケットを取る場合に限ります)とこれまた大幅に安くなりました。
ただし、メンズデーや6回鑑賞するごとに1回無料というサービスが無くなったりと決していいことばかりでもありません。個人的には以前からレイトショー(鑑賞料金は1200円)で観ることが多かったために、正直新しい料金体系はあまりお得感が無いなーとさえ思っていました。


とは言え、実際のところどうなのかは確認しないと分かりませんのでちゃんと分析してみたいと思います。
今回は昨年2010年4月と2011年4月の鑑賞履歴を比較してどのように変わったのかを観てみたいと思います。

括弧外はTOHOシネマズ宇都宮の数値で、括弧内は全体の数値です。


2010年4月の鑑賞情報のまとめ

鑑賞本数  :10本(14本)
平均鑑賞単価:960円(1030円)
鑑賞時間帯 :
  8:00-12:00 :4本(5本)
 12:00-16:00 :1本(1本)
 16:00-20:00 :2本(4本)
 20:00-24:00 :3本(4本)


2011年4月の鑑賞情報のまとめ

鑑賞本数  : 7本(15本)
平均鑑賞単価:1085円(840円)
鑑賞時間帯 :
  8:00-12:00 :2本(4本)
 12:00-16:00 :1本(2本)
 16:00-20:00 :2本(4本)
 20:00-24:00 :2本(5本)

1. 鑑賞料金単価は上がる

1000円以下で映画を観る機会が大幅に減ったことで、鑑賞単価はちょっと上がりました。
誤差の範囲というか、個人的には許容範囲には収まるのですが、今までよりは高止まりすることは間違いなさそうです。


ただ、気になるのは3D作品の台頭と、突発的に空いた時間で映画を観ようとした時に割高になる点です。


前者についてですが、今回鑑賞料金が平均300円ほど下がりましたが、これだと3D料金を取られたら前と同じ料金を払わなければならない計算になるんですよね。ここ最近の3D作品の台頭を考慮すると、実は3D作品を増やすことで前と同じ料金になることをもくろんでいるんじゃないかと疑ってしまいます。


あと後者については、1200円で観るためにはネットでチケットを取らないといけず、仮に窓口でチケットを取ると200円ほど割高です。
となると、「ちょっと時間が空いたから今から何か観たいな」となると、さほど安くは観られないということでして、そのあたりはどうなの?と。窓口を少人数で回すためにもネットに移行したいというのは分かりますが、何だか今一歩な感じがぬぐえません。

2. 映画を観る時間帯について

この結果にはいまいち反映されていませんが、GWも合わせて比較すると実は日中の鑑賞本数・割合が増えています。
混まないというメリットはいまだ大きいものの、やはり料金的なメリットが無くなった分、土日はレイトショーではなく普通に観に行くようになりました。「午前十時の映画祭を観たあとにもう一本観て帰る」というのが、自分の中ではいいパターンとして組み込まれつつあります。


ただし、全体的にTOHOシネマズの利用頻度はちょっと下がりつつあります。
1000円で観られるチケットや無料チケットの存在を考えると、MOVIXの方がお得な感じがします。

3. 前売り券はもうなくなる?

前売り券って元々買ってなかったので詳しくは分かりませんが、おおよそ1300円くらいで売られていたと記憶しています。
ところが4月以降、TOHOシネマズ宇都宮では前売り券は一部(今はポケモンだけ)をのぞいてまったく売られていない状況です。鑑賞料金が1200円になったことを考えれば、当然かも知れませんが、特典付きとかおまけ好きだった人は寂しいだろうなと思います。


配給的にはどうなんでしょうね、この変更。

まとめ

現在、TOHOシネマズ宇都宮ではデジタル上映の作品がものすごく増えています。
いままでのフィルムに比べて搬送や上映のコストが下がるんだからもっと安くしてもいいんじゃね?と思いますし、そもそもフィルムとデジタルという差のあるサービスを同じ料金で提供するのはどうなの?というのは疑問としてつよく感じるところです。


とりあえず「映画料金の民主化」というお題目が掲げられた今回の料金改定ですが、最初はこの表現にピンときませんでしたが最近何となくその意図するところが分かってきました。つまり、放っておいても観に来る少数派ではなく、たまに観たい作品があるときだけ観に来る多数派が喜んでもらおうということなんですよね。
長期的に利用する人に対するサービスは思い切って仕分けする一方で、利用頻度の少ない人に選んでもらえるように割安感を与える値段体系にしましたというのが今回の料金改定の意図だと理解しました。


近年、松竹系のシネコン東宝系の映画が上映される、もしくはその逆はもはや珍しいことではなくなりました。宇都宮市はTOHOシネマズとMOVIXが比較的近くにある上に、上映作品もモロ被りなので正直どちらに観に行っても観ることのできる作品というのは大きく変わりません。多くの人が観たいと思う大作についてはどちらの映画館でも観ることが出来るのです。
今回の料金変更は、上映作品では差別化の難しいMOVIX宇都宮との差別化をこれだけの鑑賞料金の変更だけで可能かどうかというテストでもあるのかなと感じています。


正直、今回の鑑賞料金の変更でわたしが嬉しいと感じたことはほとんどありません。
日中に映画を観に行く頻度が増えたことはたしかに嬉しいことですが、それよりも全体としてみた場合のサービスレベルの低下は率直に申し上げてとても寂しいと感じています。ないがしろにされているというのは言い過ぎかも知れませんが、運営側の意識が自分の方にはまったく向いていないことがすごく残念だと感じました。


いまは午前十時の映画祭があるのでどうしても週に一度は足を運んでいますが、今のサービスが変わらないままこれが終わったら、たぶん足は遠のくような気がしています。