年に一度のイベントを中止することのむずかしさと、だからこそ決断することの大事さ


本日参加予定だった桐生市掘マラソンは中止となりました。



現地の方の情報によると、道路の除雪や整備などぎりぎりまで開催に向けて準備をしてくれていたようでして走路の雪はかなり片付いているとのことでした。そういった運営側の努力には本当に頭が下がる思いですが、個人的にはもっと早めに中止を決断すべきだったと思います。


わたしの知るかぎり、昨日の夜の時点でどう考えても開催できる見込みはありませんでした。
というよりも昨日朝の時点で「夜半まで雪が続くこと」と「場所によっては暴風雪になるくらい荒れる」ということまでわかっていましたし、日中も雪の影響で交通機関がまともに機能していないという状況でした。明らかに開催できる見込みがなかったために、近隣のマラソン大会はお昼過ぎには中止を決定して大会のサイトや市区町村のサイトで情報を公開していました。


(中止を早めに決定した大会)


どちらも決断がかなり早かったのが印象的でした。
というのも、マラソン大会は雨天決行というのがほとんどなので多少の荒天では中止になりませんし、そういう意味では前日に中止を決定するということはほとんどありません。つまり前日に中止を決めるというのはわりと異例なのですが、でもそのくらいこの大雪が異常なものであったとも言えます。


早めに中止を決断すれば「遠方から来る予定の人は前泊せずに済む」「ボランティアや運営の方々の負担も減る」という大きなメリットがあります。一方で早く中止を決断してしまうことで「連絡が足りないというクレームが入る*1」「当日晴れてしまったときに「開催できたんじゃないか」というクレームが入る」というデメリットもあります。


いい面があれば悪い面もあるわけでどちらを取るのかという判断は難しいところですし、その決断のつらさは想像に難くありません。

ただ、参加者の立場から申し上げると今回にかぎって言えば今日の朝に決断を延ばす必要性が理解出来ませんでしたし、6時の決定というのはあまりに遅すぎるだろうと思いました。


そもそも朝6時に開催可否を決定して8時55分からハーフがスタートってどう考えても無理があります。

当然、ただスタート時間までに現地に着けばいいだけというわけではありません。参加の受付をしたり着替えたりする時間も必要ですし、ハーフであれば少しはアップする時間も欲しいです。くわえて、道路や交通機関が混むことを考えればどう考えてもその6時の告知に無理があることは想像に難くありません。

実際に、6時に家を出てもスタートには間に合わないという人が多かったためか、現地に到着した後や移動中に中止を知った人たちがいて途方にくれていました。わたしはあまりにひどい天候だったのでおそらく開催はないだろうと半ば確信して朝の移動は見合わせていましたが、本来であれば始発で現地に向かおうと思っていた口なのでもし早朝に起きて現地に移動する最中にこの中止を知ったらすごい落ち込むと思います。

開催に向けてたくさんの努力をしていただいたことには心から感謝していますが、一方で最善を尽くしたと言えば聞こえはいいものの結果としてこれだけ交通事情がよくない状況の中、大勢の人(参加者とボランティア、そして運営に携わった多くの方々)に無駄な時間をとらせたことはもっと省みるべきだと思います。
あの天候と状況を鑑みれば、開催可否の判断を当日の朝まで持ちこすという判断が決して分のいいギャンブルでないことは誰でもわかると思います。


それと一部情報によると、今回が第60回という記念大会であること、過去に一度も中止したことが無いということが中止判断を鈍らせた一因であるとも言われています。たしかに歴史ある大会であればあるほど年に一度の大きなイベントを中止するということは難しいのはわかりますし、まして今まで中止したことがないとなれば、なおさら中止しにくいことは理解できます。

ただ、それでも今回は早めに中止を決断すべきだったと思います。もしくはやるならやるで絶対にやるべきでした。
その決断がとても難しかったことは理解できますが、だからこそその決断が求められていたのだとわたしは思います。まともに走ることができるのかどうかさえ分からない状況において開催可否の判断を直前までできないというのはどう考えてもマイナスのイメージしかうけません。

前日の夜にも「やる方向で検討している」という情報を出していたわけで、あれを信じていた人も多くいました。現地の状況をみたうえで、どういう状況であろうがやる覚悟があるんだなという意思を感じました。

でも翌朝あっさりとその意を翻してしまった。

1万人規模の大きな大会であるからこそ最後まで開催しようとしたのだと思いますし、その気持ちはすごくありがたいです。
twitterで除雪が済んでいる走路の写真を上げていた方がいて一参加者として開催に向けた努力には本当に感謝しています。でも他の大会が軒並み中止に傾くほどの悪天候の中、あえて開催の意を示していたのに最後の最後の当日になってやりませんというのはすごく残念に思います。


できないことはできないと適切なタイミングで発信するのも誠意ではないかと思います。
そしてできるかどうかわからないことをできると言ってしまうことよりも誠実だと思います。

*1:信じられない話ですが、開催可否を確認せずに現地まで行ってそこで中止を知ってクレームを入れる人も少なくないそうです。しかもそのクレームの中には「お金を払っているんだから電話で全員に連絡しろ」という人もいるそうで....。