「SHORT PEACE」見たよ


大友克洋を始め、日本のアニメーションの最先端にあるトップクリエイターが手がけた5つの作品「火要鎮」、「九十九」、「GAMBO」、「武器よさらば」、「オープニングアニメーション」が収められたオムニバス。

『SHORT PEACE』作品情報 | cinemacafe.net


MOVIX宇都宮で観てきました。

タイトルなしのオープニング作品もあわせると合計5作品が収められたオムニバス形式のアニメーション作品でしたが、現実という壁に阻まれない自由な表現力の威力をぞんぶんに味わえる良い作品でした。非常に短い作品ばかりなのでストーリーは極限まで肉をそぎとられているような印象を受けたのですが、足りない部分を観ている人が補完して楽しめる、というか前日・後日譚に想像をふくらませて楽しみたくなるおもしろさがありました。

恥ずかしながら大友監督を始め、作品を撮られた方々の作品はまったく拝見したことがなかったのですがどれもおもしろかったです。

オープニングアニメーション


女の子がかくれんぼしていたら見知らぬ場所へ来てしまったでござるというお話。



ただ、お話というほどストーリーがあるわけではなく、かくれんぼのオニになっていた女の子が相手を探すうちに不思議な世界に迷い込んでいくというそれだけの内容です。色彩感覚を刺激するきれいな映像がとてもステキです。


そういえば女の子の声を聴いたときに何となく聞き覚えのある声だなと思ったので帰ってきて調べてみたのですが、どうやらはるかぜちゃんが担当しているそうです。もうちょっと幼い子の声かと思ってましたが、でも張りがあってよい声でした。


あと最後のシーンはちょっといやらしい感じがしました。

九十九

嵐に遭遇してしまい、ある社に避難した男性が不思議な世界に入り込んでしまうというお話。

タイトルに九十九とあるとおり、この作品で描かれるのは付喪神(つくも=九十九)のお話です。古くなってしまった傘や反物が化けて出てくるのですが、それを男性が次々と直していく様子が描かれていたのですが、この付喪神たちや彼らが巣食う世界の描写がとても独特な雰囲気で魅力的でした。

火要鎮(ひのようじん)

火消になった男性とその男性のことが忘れられなくて火事を起こしてしまった女性の物語。

話はまったくおもしろくなかったのですが、火事が起こって江戸の町が火に包まれていく様やそれを食い止めようとする人たちの行動がダイナミックに描かれていて観ていてすごくドキドキしました。


GAMBO


とつじょあらわれた赤鬼がある村を襲い始めて毎日村の女を奪っていくようになるのですが、その村で最後の生贄として残されていた少女の願いを受けた化け物級に大きくて強いシロクマがその赤鬼と戦うというお話。話だけ読むと私が説明ベタなこともあってどういう内容なのかよくわからないと思いますが、とりあえずシロクマと赤鬼のバトルが熱い傑作です。

この5作品の中では一番好きな作品。

武器よさらば

おそらく何かしらの要因で壊滅的な被害を受けてしまった近未来の都市を舞台に、無人のロボットと人間たちが繰り広げる戦いを描いた作品でしたが、これもなかなかおもしろかったです。「たったひとつのロボットにそんなに念入りに準備して戦いを仕掛けるのか」と驚かされたのですが、そんなふうに幾重にも仕掛けられた攻撃をくりだしてヒリヒリするような紙一重のやりとりをくりかえす様にとてもグッときました。

ラストのオチもまたよかったです。


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