靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校を休み、日本庭園で靴のスケッチを描いていた。ある日、タカオはひとりで缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。2人は雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心通わせていく。居場所を見失ってしまったというユキノに彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。6月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた…。
『言の葉の庭』作品情報 | cinemacafe.net
TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。新海誠監督最新作。
2007年に観た「秒速5センチメートル」以来、6年ぶりに新海監督の作品を劇場で観てきました。
本作は劇場公開と同時にiTune Storeやオンライン販売が始まるという方式になっているために劇場で観るかどうか悩んだのですが、観るなら大きなスクリーンがよさそうな気がしたために張り切って劇場まで行ってきました。
本編に先立って上映された短編「だれかのまなざし」と表題作「言の葉の庭」の二本立てでしたが、好き嫌いは分かれつつもどちらも良い作品だなと思いながら鑑賞してきました。以下、それぞれの作品について感想をまとめます。
だれかのまなざし
時間経過にしたがって家族の形、言い換えれば家族という共同体を構成するメンバーそれぞれの一番大事なものが変わっていく様子を描いた作品でしたが、これはひじょうにグッときました。これはすごく好きです。
わたし自身に娘がいるためかも知れませんが、子どもが成長する喜びと手を離れる寂しさが等身大のボリュームで描かれていてとても共感しました。たった6分40秒という短い作品でしたが、わたしはこれを観ながら「親としていままで歩んできた道」を振り返り、そして「これから歩まなければならない道」を想像しなていたら喜びと寂しさがないまぜとなった感情と向き合っていました。
なにげにターゲットは狭い気はしますが、わりとツボにはまる人は少なくないと思います。良作!
言の葉の庭
新海作品らしい本当に美しい映像には終始心惹かれたのですがストーリーがあまりに興味が持てない内容でしてまったく感情移入もなにもできませんでした。登場人物たちのキャラクターも弱く、さらに主人公たちの周囲を固める人たちもかなり登場回数が少ないがゆえに全体的にヒューマンドラマとしての基盤がもろく感じられました。人間関係をもっと丁寧に描けばおもしろくなりそうだっただけにちょっと残念でした。
うまい表現が見つからないのですが、出てくるすべてが記号的で薄っぺらく感じてしまいました。
だから画の美しさがただ外側だけを取り繕っているようにしか感じられず、結果として長所が長所として活かされないどころか短所も短所のままでしかなくてとても残念な感想しか出てこないのです。
ファンとしてはあの世界観に浸れただけでも満足していますが、それだけで合格点を出せるかと言うとさすがにNOと言わざるを得ません。
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