悪いと思うなら絶対に謝るな

先日、映画「赤ずきん」を観に行ったときのことなんですが、予定よりもちょっと早く映画館に着いちゃったのでロビーのベンチに座ってGalaxy Tabでエロサイトを見てたのですが、ちょっとすると隣に二人組の女の子が座って話始めました。


これは神に誓って申し上げたいのですが、別にわたしは彼女たちの会話を盗み聞こうという意図はまったくなくてですね、二人ともやけに声が大きかったので横にいただけのわたしにも聞こえてきただけでして、「こいつ他人の会話に聞き耳立てて趣味悪いな」なんていうふうに誤解をしないでいただきたいのですが(言い訳)、とりあえず二人に会話のメイントピックは友だちの彼氏の浮気についてでした。


話を簡単に整理すると、共通の友だちの彼氏が友だちの友だちと浮気していたそうで、そのことを隠しておくことに耐えられなくなった彼氏が自白してきた謝ったんだけど、彼女は許せなかったらしいよ的なことを話してました。
それに対する二人の意見は分かれていて「浮気は最後まで隠せよ!」という意見と「いやいや自分からしゃべって謝ったんだから許してあげようよ」という意見で盛り上がっていました。結局、結論は出ないまま二人は「パラダイス・キス」を観るために場内に吸い込まれていったのですが、なるほどこれはとても興味深いテーマだということでわたしも考えてみました。


まず最初にわたしの考えを述べておくと、基本的には「浮気は最後まで隠すべき」という意見です。
もちろん"そもそもすべきではない"という前提はもちろん踏まえたうえで、もしするのであれば絶対に相手にばれてはいけないし、万が一ばれても決定的な証拠がない限りは絶対に認めてはいけないと固く信じています。
ではなぜそう思うのかというと「認識できないことは存在しないも同じ」であると思っているからです。こう言うと「最低だ」とか「人間としてどうかと思う」なんていうことを言われるのですが、この事についてもう少し深掘りして語りたいと思います。


話はちょっと変わりますが、わたしは大学では物理を専攻していて原子核とかそのあたりのことを研究していました。
ご存知の方も多いと思いますが、原子や素粒子*1というのはもちろん直接目で見ることの出来る大きさではありませんので「存在を確認する」という、ただそれだけのことでもとても難しいと言えます。日常では、何かがあるかどうかを確認しようという場合には五感を頼りにその存在を検知することが多いのですが、五感だけでは素粒子の存在を確認することなんて出来ないのです。


ではどういう方法で存在を確認するのかというと、例えば鉛などの重い物質とぶつけたり、磁石を使って軌道を曲げることで光を出させてそれを検出したりと方法はさまざまですが、そういった工夫を積み重て目に見えないものの存在を観測することができる仕組みを人間は作り上げてきたのです。


ここまでの説明で何となくご理解いただけたと思いますが、物理学は「人間が認識できる現象を対象とした学問」であるとよく言われます。どんなにすばらしい理論が出てきたとしても、それが現実と整合しなければその理論は評価されることは決してありません。あくまで実証ありきなのです。
そしてそれを簡潔に一言でいうと「認識できないものは存在しないのと同じ」と言えるのです*2
そんなわけでわたしはこの意見を支持していて、現実でも何でも「認識できないものは存在しないのと同じ」なんだと強く信じているので、上で掲げたような意見となるのです。
最初の話に戻ると、浮気していることを知らなければ彼女も苦しまずに済んだなのになんでわざわざ言っちゃうの?と思うんですよね。


それは良心の呵責だという意見もあるでしょうが、そんなのは嘘っぱちです。
じゃあなぜバレてもいないことをわざわざ告白してまで赦しを乞うのか?ということについて考えてみると、結局はその事実を自分だけでは抱えきれなくなって相手にも負担させたいという、どうしようもない恥知らずな行為ことだと思うわけです。似たような例としては「いじめっ子が卒業間近になって自分がいじめてた子に謝罪してすっきりしようとする」というものが挙げられますが、もうね、こういうのはホント嫌い。
やってしまったことを悔いるのは決して悪いことではありませんし、謝罪の言葉を述べることも大事なことだと理解してます。
でも、わたしはその罪を言葉だけでの謝罪で済ませるのではなく、犯してしまった罪と向き合って一生生きていくべきだと思うのです。告白して謝ることで楽になろうとする根性がわたしは気に食わないのです。


何だか話がまとまりませんが、何か罪を犯してしまったときは謝って許してもらおうとするのではなく、ひたすら自分がその罪を背負っていく覚悟をしてほしいとわたしは思います。

*1:原子よりも小さい粒子の総称

*2:微妙に本意からはニュアンスがねじ曲がってるのですが、言いたいこととはおおよそはずれてないと思うので誤解を恐れずに主張したいと思います!